ノーベル賞「物理学賞」2018年は誰の手に? 日本科学未来館が予想
ノーベル賞は、生理学・医学賞に続いて、10月2日夜に物理学賞が発表されます。日本科学未来館では今年も、自然科学3賞を受賞するにふさわしいと思う研究テーマ・研究者について独自に紹介しています。 【写真】10月1日からノーベル賞発表 日本人の受賞は? 日本科学未来館が予想 昨年2017年の物理学賞は、アメリカの「LIGO(レーザー干渉計重力波観測所)」による世界初の重力波観測に貢献した3氏に授与されました。2016年の初観測発表から2年弱でのスピード受賞です。さらに、LIGOなどの研究チームは物理学賞発表から2週間も経たないうちに、またしても重大な成果を発表しました。重力波を発生した天体をLIGOと従来の電磁波観測で同時に捉えることにより、中性子星という天体の衝突で重力波以外に金などが生成されているらしいことが分かったのです。それは、これまで重力波という未だ見ぬ物理現象を探す装置だった重力波観測所が、天体や天体現象を調べる天文台になった瞬間と言えます。 この発見でもう一つノーベル賞を受賞してもおかしくないのでは、とも思えるほどですが、世の中には素晴らしい研究がまだまだたくさんあります。今回はどんな研究が受賞するのか、日本科学未来館の科学コミュニケーターの予想を紹介します。
今年は「物性分野」の受賞が濃厚か
物理学は、その名の通り「物(もの)」の「理(ことわり)」を探っていく学問です。その分野はおおざっぱに言うと、(1)「物性」:物質の示す物理的性質、(2)「宇宙」:天文学や宇宙物理学、(3)「素粒子」:物質を構成する最小単位のミクロな世界、までの3つに分かれています。 ノーベル物理学賞の過去の受賞分野を振り返ってみると、「宇宙分野の翌年は物性分野。素粒子分野の翌年は物性分野」というように幅広い分野が交互に受賞する傾向が続いています。昨年の重力波を宇宙分野とみなすと、2018年は物性分野が有力ということになります。今回、科学コミュニケーターは、来る「サイバーフィジカルシステム(※)」時代を前に、半導体技術に革命を起こしつつある2つの研究に注目しました。 ※サイバーフィジカルシステム=現実世界からセンサーなどでさまざまな情報を集め、AIなどを駆使して分析してデータを活用するシステムのこと。