【若さの源は「骨」にあり】骨粗しょう症は遺伝するの?知っておきたい骨の常識
知っているようで、誤解していることも多い骨のこと。正しく知って、正しく対処!そこで今回は、整形外科医 中村光伸さんに骨に関する素朴な疑問をお伺いした。骨の健康を守るために、今から知っておきたい「新常識」をチェック!
最初に弱るのは「腕の骨」?
→答えは× 「骨密度は上腕で測ることが多いので、折れやすい部位と勘違いしがちですが、実は最も折れやすいのは背中や腰の椎体です。続いて、足の付け根(大腿骨近位部)、手首、腕の付け根と続きます。骨粗しょう症で骨折する場合は、ポキッと折れるというより、グシャッとつぶれるイメージです」(中村先生)
骨粗しょう症は遺伝要因が大きい?
→答えは△ 「確かに骨の強さには遺伝的要素が大きく影響します。近親者、特に母親が大腿骨近位部(足の付け根)骨折を経験している場合は注意が必要です」。母娘間の骨密度の遺伝性は、前腕骨72%、大腿骨近位部67%、骨密度全体では70%。両親のいずれかに骨折歴があると、骨粗しょう症性骨折のリスクが1.18倍に! しかし遺伝だけではなく、生活習慣も関係する。
骨の健康管理はYAM70%未満からで大丈夫?
→答えは× 骨密度を知るには、骨のミネラル量などを測定する。数値は、20~44歳の健康な女性の平均値を100とし、その何%に当たるかを表すYAM(Young Adult Mean)値が用いられる。YAM70%なら、若い人に比べて70%まで減少しているということ。「YAM70%未満はすでに”骨粗しょう症の疑いあり”の範囲なので、その時点で対策を始めるのでは遅すぎます。YAMの数値に関係なく、40歳を過ぎたら誰でも、骨の健康管理を始めることをおすすめします」 ●骨粗しょう症の診断 【正常】…YAM80%以上で骨粗しょう症化 なし。脆弱性骨折がない場合 【骨量減少】…YAM70%以上~80%未満、 または、骨粗しょう症化の疑いあり。 脆弱性骨折がない場合 【骨粗しょう症の疑い】…YAM70%未満、 または骨粗しょう症化あり。 もしくは脆弱性骨折がある場合 【骨粗しょう症】…YAM70%未満で、1個以上の 脆弱性骨折がある場合 骨粗しょう症の診断は、骨密度と脆弱性骨折がないか、などで総合的に行われる。骨活はYAM70%未満になってからでは遅すぎるとのこと。できるだけ早くから始めよう! 今回の話を伺った先生 中村光伸さん 光伸メディカルクリニック院長。整形外科医、医学博士。近年、注目の若返りホルモン「オステオカルシン」の研究を進め、骨の強化と全身の機能回復を両立する「骨たたき体操」を考案。近著に『医者が考案した骨粗しょう症を防ぐ1分間骨たたき』(アスコム)がある イラスト/Jessie Hartland(CWC TOKYO) 構成・原文/山村浩子