「まるでこたつソックス」がロングセラーに あえて“靴下らしくない”売り方をしたワケ
靴下というより「あったかグッズ」
岡本の商品は、もともと衣料品ストアや総合スーパーが主な販路だった。しかし、まるでこたつソックスは当初、主にバラエティーショップやECサイトで販売を開始し、順次ドラッグストアなどに拡大していった。1934年創業の老舗メーカーである同社にとって、これは新たな取り組みだったという。 青柳氏は「靴下には『3足で1000円』のようなイメージがあるので、まるでこたつソックスは高価格帯といえます。そこで、バラエティーショップで展開することで『靴下』というより『あったかグッズ』として訴求したいと考えました」と説明する。 「バラエティーショップの購買層は20~30代です。SNSで発信してくれるこの層に最初に届いたことが、ブランドの成長につながったと考えています」(青柳氏) また、パッケージを袋入りとしたこともこの時、プラスに働いたようだ。「2015年当時の靴下業界では『靴下は直接手でさわれないと売れない』のが定説で、カードをつけたり帯を巻く販売方法が一般的でした。ですが袋に入れたことで、より『あったかグッズ』として見ていただけた。今では同業他社さんにも『袋入り』は広がっていますね」(青柳氏)
「おうち需要」も追い風に
累計販売足数は、2015~2020年で70万足を突破(出荷ベース)。2020年以降も新型コロナウイルスの感染拡大を受け、いわゆる「おうち時間」をぜいたくに過ごしたいというニーズが生まれたことも追い風となり、売上高は右肩上がりに伸び続けた。 好調を受け、2021年の冬からはテレビCMの放映を開始。販路も衣料品ストアや総合スーパーに広げたほか、翌2022年にはコンビニにも進出した。 現在は通常の靴下だけでなく、メンズ向けや「プレミアム仕様」にもラインアップを広げており、限定カラーも毎年発売している。2024年の冬からは、睡眠用に開発したラインアップ「おやすみスイッチ」の全国展開も開始している。 他メーカーもさまざまなあったかグッズに力を入れるこの冬、まるでこたつソックスはさらなる成長を遂げられるか。
ITmedia ビジネスオンライン