緊急事態宣言に頼れば失敗する。新型コロナ治療、最前線のトップが抱く危機感
東京都では6日連続で新型コロナウイルスの新規感染者数が100人を超えた。小池百合子都知事は7月2日、緊急の記者会見を開き「感染が拡大しつつある」状況であるとの専門家の総括を発表している。この状況をどのように捉えるべきなのか。【BuzzFeed Japan/千葉 雄登】 東京都の新型コロナ対策のアドバイザーも務める国立国際医療研究センター・国際感染症センターのトップ、大曲貴夫医師はBuzzFeed Newsの取材に対し、「緊急事態宣言は最終手段。その手前で、何ができるのかを議論しなくてはいけない」と危機感をあらわにした。 緊急事態宣言の発出時期を探るような報道が多い中で、コロナ治療の最前線に立つ医師は何を思うのか。話を聞いた。 ※インタビューは6日午後に行われ、その時の情報に基づいています。
「全然楽観視していません。非常に危ない状況です」
ーー現在の東京での感染拡大の状況はどのように見ていますか? 患者さんはすごい勢いで増えています。 新宿区や豊島区を中心に濃厚接触者の調査や自発的な検査が始まっているので、陽性者が増えている面は確かにあります。ですが、同時にリンクが追えない方が増えているのも事実です。 現在では4割ほどの方のリンクが追えていない。そして、そのリンクが追えない方の数が増えてきています。リンクを追えない方の数は、どれだけ市中で感染が広がっているかを示します。 このことからも、濃厚接触者の調査を行っているから陽性者が増えているだけではなく、実際に市中感染が広がってる状況と言えるでしょう。 ーーその内訳はどのようなものですか? 現状は20代、30代の方が大多数ではあります。ですが、少なくない頻度で40代、50代の方の感染も確認されている。決して「若い人たちだけの間で流行している」とは言えません。 重症例は現在、減少傾向にあります。集中治療室がどんどんと埋まっていくという状況にはありませんが、高齢者施設の職員の方から陽性者が出るなど、一番リスクの高い方々の近くにまで感染者は入り込んでいます。 さらに、東京に出かけて帰った方や東京に通勤されている方の中からも感染者が確認されていることを踏まえると、このまま感染が広がればハイリスクな人も感染し、重症者は増えると考えています。 僕は全然楽観視していません。非常に危ない状況です。