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学給 やっと再開 産地安堵 食材使用回復へ 丼、カレー 配膳の手間削減

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日本農業新聞

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が解除され、全国の公立の小・中学校の99%が6月から始まり、学校給食も少しずつ再開してきた。簡易給食などを当面実施する地域も多いが、給食に使う食材が極端に減る事態は解消される見通しだ。食材を供給していた産地や農家から安堵(あんど)の声が広がる。学校側は「新たな生活様式」に合った給食を模索する。

供給体制万全 一部でも歓迎 JA

 佐賀市の小・中学校では、5月中旬から待望の通常給食が再開した。全国有数のタマネギの産地、JAさが園芸部の担当者は「学校給食の再開は地域で異なり完全回復ではないが、やっと動き出したことをうれしく思う」と歓迎する。  JAは「給食も業務用もストップしてしまい、一時期はかなり価格が落ちていた」(同)と苦労を明かす。相場低迷を補うため、通販サイトでのPRを強めたり緊急需給調整事業の発動で市場出荷の後送りを行ったりするなどの懸命な対策を行って乗り切ってきた。  埼玉県和光市。露地野菜を生産する加藤隆治さん(37)はホウレンソウやネギ、ニンジンなど年間約20品目を市内の小学校に届けてきた。「再開したときに出せるよう作付けは例年通り行っている」と準備万端だ。  休校中は、給食向けの野菜はスーパーや直売所向けに販路を変えた。家庭用の需要が高まっていたため幸い廃棄は出なかったが、再開したときにいつでも出せるように営農してきたという。  同市では15日から給食が再開となる。ただ、最初はご飯とみそ汁だけ。22日の週から通常に近い形での給食提供となる。加藤さんは毎年、6月だけでジャガイモ約500キロを給食用に納品しており「量が多いジャガイモだけでも納品できればと思っている」と話す。  大きな影響を受けていた牛乳も、全国的に供給が再開してきた。福島県内の学校に1日15トンの牛乳を供給する酪王乳業(郡山市)の鈴木伸洋専務は「給食が始まり、ようやくこの段階まで来られたことが喜ばしい」と安堵する。ただ、「夏休みを短縮して授業を行うという話も聞く。生産量が減る時期の供給をカバーできるかどうか不安もある」と話す。  各自治体の教育委員会によると、一部地域では通常の給食を始めているが、コロナの感染拡大を防ぐために、配膳に関わる人数を極力減らそうと給食の様式を変える学校も多い。  札幌市や長野市、東京都世田谷区などでは配膳にかかる手間を減らすため、献立をカレーや丼飯などに変更したり、品数を減らしたりする。「品数が減るからといって栄養が少なくならないよう、量を増やすなどで栄養量を考えたい」(札幌市教育委)、「副菜を減らす分、野菜を加え栄養が減らないようにする」(長野市教育委)など「新たな生活様式」に沿った工夫を凝らす。  仙台市では6月1週目はパンと牛乳だけを配布し、2週目以降は通常の形での給食を始める。さいたま市は1週目は牛乳だけ、その後はパンまたはおにぎりを牛乳と共に提供し、中旬ごろから通常の形に近い給食を提供するなど模索が続く。  文科省によると、全国約26%の公立小・中学校で給食に地場産を活用している(2018年度)。学校給食は産地にとって安定した出荷が見込める重要な契約先だ。  全国学校給食会連合会によると、給食の再開は各県でばらつきがあり、感染拡大を防ぐために献立変更などの工夫は当分続くという。  國府島勇三事務局長は「文科省の学校給食摂取基準を目安に栄養が確保できるよう普段より具だくさんにするなどで、食材が極端に減るということはない」と見通す。

日本農業新聞

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