なぜ井岡一翔の“リトル・パッキャオ”福永亮次との“代替大晦日マッチ”が急転決定したのか…使命感と延期統一戦への布石
プロボクシングの4階級制覇王者でWBO世界スーパーフライ級王者の井岡一翔(32、志成)が大晦日に大田区総合体育館で同級6位で日本&WBOアジアパシフィック同級“2冠”王者の福永亮次(35、角海老宝石)と防衛戦を行うことが16日、発表された。井岡は9度防衛のIBF世界同級王者のジェルウィン・アンカハス(29、フィリピン)と悲願の統一戦を戦う予定だったが、政府が新型コロナの「オミクロン株」の水際対策として外国人の新規入国を禁じたため、アンカハスが来日できなくなり3日に「中止」が決まっていた。井岡の大晦日マッチは10度目となり、福永は世界初挑戦。
「全力で勝利し次の試合へ繋ぎたい」
ボクシングでの年越しを楽しみにしていたファンにとっては朗報だ。急転、アンカハスとの統一戦が中止となっていた井岡の大晦日の代替マッチが決定した。井岡は所属ジムを通じて「大晦日に統一戦が出来ないのは残念ではありますが、決まったからには全力で臨み勝利し次の試合へ繋ぎたいと思います。このような時期に試合が出来るのを感謝しております。大晦日、応援宜しくお願い致します」とコメントした。 なぜ中止だったはずの井岡の大晦日マッチが相手を変えて実現することになったのか。 大きな理由は3つある。 生中継を予定していたTBSは、新型コロナ禍での興行だけに代替番組を用意していた。本音を言えば、過去の実績と数字を持っている井岡で大晦日の視聴率戦争に勝負を挑みたかったのだろうが、特にプッシュが強かったわけではないという。 第一の理由は、アンカハス側の動きにあった。中止決定後、井岡陣営は、アンカハス側と延期に向けての交渉に入ったが、4月に9度目の防衛戦を行って以来、試合をしていなかったアンカハス側は、井岡との統一戦の前に1、2月に他の相手との防衛戦を行うことを優先させる意向を伝えた。試合間隔を空けたくないことや、興行的な事情が理由だったそうだが、そうなると、井岡との統一戦は早くとも来年4、5月にズレ込む。井岡にしても、試合間隔を空けるより同じスケジューリングで防衛戦を行った方がプラス。大晦日に代替試合ができる第一条件が固まった。