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人材解雇の「第2波」に備える、パブリッシャーたち:「良い危機を無駄にしてはいけない」

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DIGIDAY[日本版]

「良い危機を無駄にするな」

一方で、コロナウイルス・パンデミックの第2波に対する恐怖は、さらに大国の経済をさらに借金へと導いている。ブルームバーグ(Bloomberg)のデータによると、アメリカ企業の資金調達率は記録的な山を見せた。今年は2019年の2倍にもなる1兆ドル(約107兆円)が借りられている。企業は今年後半にさらに状況が厳しくなることに備えて、貸借対照表にテコ入れをしている。 独立系のメディアコンサルタントであるイアン・ウィットテイカー氏は、「コスト削減に何ができるかが主要な牽引力となるだろう。不景気の影響は、ビジネスモデルが崩壊し、企業がこれまで通りの人数を雇えなくなることを意味している。多くの企業は『良い危機を無駄にしてはいけない(never let a good crisis go to waste)』という格言に頼ることになるだろう」と語った。 パブリッシャー企業ピープル(People)では印刷物と不動産がコストの大部分を占めている。英国最大手の新聞グループのひとつリーチ(Reach)にとっては、2019年の運営コスト5億5100万ポンド(約728億円)のうち44%は、従業員雇用で最大のコストだった。ウィットテイカー氏によるとエージェンシーたちの状況はさらに悪い。オムニコム(Omnicom)の純収益のほぼ75%は従業員コストだった。 「かなり大きな解雇をすべてのパブリッシャーが発表することを確信している」と、独立系メディアコンサルタントであるアレックス・デグルート氏は言う。賃金の80%を支払う英国政府の助成金は先細りになるだろうとも語った。

無駄を省いて、未来に投資

メディア企業がコロナ禍のような危機を利用してコストを削減することを示す明確な証拠が出されているわけではないが、どのような不景気においても人々が予想することではある。メディア業界に循環的にやってくる性質でもある。「短期における削減を行い、チームのサイズを補正してからまた大きく構築していく。これは我々が長年行ってきたことだ」と、グローバル雑誌のパブリッシャーにおけるエグゼクティブのひとりは語った。 アトランティック(The Atlantic)とエコノミスト(The Economist)ではイベント部門の人員は解雇された。ほかの企業でも減った需要に合わせて、営業エグゼクティブたちの数も減らされた。BuzzFeedは利益をあまり牽引していなかった英国とオーストラリアのニュース部門を閉鎖した。マイクロソフト(Microsoft)は、MSNウェブサイトとエッジ(Edge)ブラウザのニュース部門を運営していた27人のジャーナリストを人工知能で代行できるとして解雇した。マイクロソフトはアップル(Apple)と合わせるとドイツの上場市場全体よりも大きな時価総額を持つ。 コロナウイルスの影響で、デジタル化は社の存続がかかるレベルにまで必須の事業として加速された。WPPのCEOであるマーク・リード氏は、マイクロソフトチームズ(Teams)の利用に躊躇いを感じていたが、先月60倍の増加があったと述べた。ウィットテイカー氏が語るところによると、ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)のCOOであるジョン・ウォルドロン氏は、コロナ禍がそれまで人間のスタッフが必要だとされていた分野でも人間の仲介の必要性を取り除いたと述べたという。

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