“いつ、どこの酒蔵でつくられたか” をピンポイント特定!? バイオ技術で日本酒の原産地鑑定に成功
DNA鑑定では証明できなかった日本酒を新技術で鑑定
日本流通管理支援機構株式会社は、ダイヤモンドの産地鑑定で用いられる技術を応用したサービスを使った “日本酒の原産地鑑定” を行い、「どこの酒蔵で生産されたのか」というピンポイントな原産地まで特定することに成功した。 DNA鑑定では産地を証明できなかった日本酒を新技術をつかって鑑定。比較データが作成できるようになったことで全世界から 「本物の日本酒」 であるかを証明することが可能となった。同社では、本技術を応用することで、今後電子タグが埋め込めない食品や飲料への展開にも期待できるとしている。 今回の鑑定は、同社が提供する国内唯一の “科学的” 原産地証明サービス 「産地の証印™」 を使って、「どこの酒蔵で生産されたものか」 ピンポイントな原産地まで特定するものだ。これまでワインなどの原産地鑑定は行われていたが、日本酒の原産地鑑定を行ったのは同社が初めてとのこと。日本酒は原材料が 「水」 と 「米」 だけのため、ワインに比べて鑑定が難しいと言われているが、同社では 水や米などを分子レベルまで解析し、オリジナル (本物) と一致するか鑑定 を行ったという。
日本酒の原産地鑑定。どこの酒蔵で作られたのかを可視化
今回の鑑定では3つの県 (新潟・群馬・京都)で作られた3銘柄のそれぞれ製造年月日が異なるものを合計9本使用した。 この図では、緑色の部分が京都府、オレンジ色が新潟県、水色が群馬県で製造されたということを示している。もし偽造品の場合、図中のまったく違う場所にプロットされることから、すぐに偽造品だと判断することができる。今回の鑑定では、どこの酒蔵で作られたものかまで特定することができ、原産地の鑑定に成功している。
多発している日本酒偽造問題
鑑定を行った背景には、近年日本酒の空き瓶がインターネット上にて高値で販売され、中身を入れ替えて海外で取引されるという問題が多発していることがある。 また、新酒発表会の “直後” に輸出した覚えのない国に並んでいるという実態もある。世界で流通している酒の30%は偽造品ともいわれているが、いままでは消費者はもちろん、輸入業者や販売者が本物か偽造品かを判断する方法がなかった。 今回、同社の “科学的” 原産地証明サービス 「産地の証印™」 を応用したことで、「どこの酒蔵で作られたのか」「どこの畑で育ったのか」 といったピンポイントな原産地の証明が可能となったが、 「産地の証印™」 は日本に先んじて、海外で多くの実績があるという。 そのひとつに、 穀物をめぐるウクライナーロシア間の問題がある。同じDNAを持つ小麦がある穀倉地帯で、DNA鑑定では同じになってしまうが、 原産地を特定することで、「略奪されたものではないか?」 という検証を行うことができる。本来はウクライナ産である穀物を、ロシア側が自国産の穀物と混合したり、嵩増ししてロシア産として販売してしまうと、その利益が戦争の資金源に繋がる可能性があるため、そのようなことを避けるべく、検証しているという信頼のある技術だ。他にも、コーヒーやワイン、アワビ、肉類など、あらゆる食品や加工品での実績があり、食品に限らず、鉱物、金属、レアメタルなどの原産地を証明 することも可能だという。 さらに、裁判での適用事例も豊富で、食品中の異物の出所を特定し、企業に科学的証拠として提出された事例もある。そのほかFBIやインターポール、オーストラリア警察の捜査にも活用されている。 尚、鑑定費用については、日本酒の場合だと50~300万円程度で分析情報を作成可能とのこと。価格に幅があるのは、「製造は1つの酒蔵か?複数地点か?」「年に何度生産しているか?」「添加物が含まれるか?」「定期的に検証を行うか?スポットか?」 といった鑑定条件により変動するためだという。