空き家問題解決へ 奄美市で対策協発足 危険判定建物、4割弱
人口減少に伴い増加する空き家問題の解決を図ろうと、鹿児島県奄美市の空き家等対策協議会が30日発足し、市役所で初会合が開かれた。2021年度から5カ年計画の空き家等対策計画を策定。今後は、倒壊などの恐れがある「特定空き家」候補が市から提示された場合、認定から行政代執行に至る一連の行政措置の最終判断を担う。会長に伊集院平應氏(県建築士会奄美・大島支部長)を選出した。 対策協は朝山毅市長と法務、建築、不動産、地域代表ら委員11人で構成。 市の実態調査(19年10月~20年3月)によると、空き家総数は1019件(名瀬639、住用91、笠利289)だった。 これを外観目視による3段階判定で選別すると、状態良好で利活用可能な判定Aが225件、一部修繕が必要な判定Bは411件。老朽化など周囲に危険を及ぼす可能性のある判定Cは383件で、全体の4割近くを占めた。現在、空き家データベースの構築を進めている。 空き家対策計画の基本指針は(1)適切な管理、除却の推進などの措置対応(2)良好な住環境を維持するための予防(3)定住促進に向けた活用―の3本柱とした。 (1)の措置対応については▽市が「危険空き家」と判断した建物の解体費用の一部助成▽空き家対策特別措置法に基づく「特定空き家」の措置―の2段構えで行う。 危険空き家除却助成制度は市の独自策。希望者の申請を受け、1件当たり30万円を上限に交付する。 今回発足した対策協が担うのは、特定空き家の措置に関する一連の判断。特定空き家に認定された場合、市は所有者に対して撤去などを行うよう助言、勧告、命令を段階的に実施する。最終的には、空き家を強制的に解体する行政代執行へ踏み切ることも可能になる。 会合では防犯や防災、衛生上の観点から早期の対策を求める声が上がった一方、個人財産に税金を投入する措置に対して「市民に納得してもらうのは難しい面もある。資格審査や財産状況をしっかり調べた上で行ってほしい」と注文が付いた。
奄美の南海日日新聞