「親族内承継も社内承継もM&Aもできない会社」の「廃業以外」の選択肢
一般的な事業承継といえば、「親族内承継」や「社内承継」、「第三者へのM&A」の3つ。しかし、少子高齢化や株式譲渡などのハードルから、いずれも選択できずに結局廃業を選ぶ会社も少なくありません。いずれの手法も取れない場合、廃業以外の道はないのでしょうか? 自分自身も資金面の問題があり、一般的な手法では会社を継ぐことができなかったといいます。最終的に筆者が取った手法は、これまでにない第4の事業承継手法、名付けて「株式ほとんど買わずに経営権だけ承継」でした。
【関連記事】1000万円以上かけて廃業した会社も…「店じまい」の費用総額
年々「社外の第三者を後継者にする会社」が増加
事業承継のトレンドは、親族内承継から第三者承継へとシフトしつつあります。 中小企業庁のデータによると20年以上前には親族内承継が85%を占め、第三者承継はわずか15%でした。それが近年では親族内承継が35%、第三者承継が65%となっており、両者の割合が逆転しています。特に第三者承継の中でも社外の第三者への承継が増えています。社外の第三者とはほとんどがM&Aです【図表】。 親族内承継や社内承継が減っている背景には、後継者が身近にいないという問題が大きいですが、それ以外にも無理に継がせることで起こる不幸を避ける目的もあると考えられます。 「継がせる不幸」とは、資質や能力がないのに経営の負担を負わせることで後継者本人が苦しみ、従業員や取引先も不幸にさせてしまうことです。そうなれば結局、会社は業績が悪化し、経営を続けていけなくなるリスクが大きくなります。せっかく事業承継しても会社が潰れてしまうのでは、廃業したほうがましだった…ということにもなります。 自社株はオーナーが保有したまま社長の地位を後継者候補の子や番頭格の社員に譲り、経営をさせているケースもありますが、これは中途半端な事業承継と言わざるを得ません。 なぜなら単に社長交代しただけで、自社株の売買の問題や個人保証・担保提供の問題は先送りになっているからです。 実権がオーナーにあるということは院政と同じです。これでは後継者にも覚悟は生まれません。 そこで、友好的なM&A先を見つけて事業承継問題を解決しようとする中小企業が増加しているのです。以前は「M&Aは大企業のもの」「M&Aしたら会社を乗っ取られる」といったイメージがありましたが、今はかなり払拭されています。