緊急事態宣言で公演中止を即断、前回の経験生きた東京アイドル劇場
コロナ禍に順応するアイドル界、失われたものと新たな傾向
ところで前回の緊急事態宣言以後、現在に至るまでアイドルのライブも様変わりした面があるという。 「お客様が声を出せない。うち以外でもほとんどのライブでコールがNG。スタンディングではしゃぎながら楽しむことが禁止されているのは大きな変化を生んでいますね。アイドルの場合、お客様の声援がライブパフォーマンスにある種の一体感を生む部分があったので、それが失われて盛り上がり的には欠けるところがあるのは否めません。お客様を巻き込んで盛り上がりを作るというのも技術だと思うし、それはごまかしとかではなくて、ある種ひとつのパフォーマンスのスタイルでした。それが使えなくなったのは残念です」 しかしそんな状況下で、新たな傾向も見えてきたようだ。 「今後は、じっくり楽しむタイプのライブ、ステージだけで完結できるライブが中心になってくるのではないかと。見てるだけで満足だわ、というライブをしないといけなくなったんです、アイドル側が。それはステージのパフォーマンス、演出だったり、構成、楽曲だったり、女の子の可愛さなのかもしれません」 アイドル界も社会の一部、変化に順応することが生き残るために必須だ。 「お客様も最近は慣れてきた面があるんです。物販でも演者がマスクをしていたり、シールド越しにチェキを撮るなんてことをお客様も楽しまれて、見ている限りはシールドがあると嫌だっていうお客様はそんなにいないかなと。結構順応しているんですよね、アイドル業界的には。売上は下がっていると思うんですけど、そんな中でもアイドルの数自体は最近、むしろ増えているように思います。去年の夏ぐらいに、年内でコロナ終わるだろうと思って準備していたグループもあると思うんです。日々、新しいグループが立ち上がっているのであまり減っている感じはしないですね」 今後、東京アイドル劇場は緊急事態宣言解除後をにらみ、新たな試みも採り入れていくという。 「外部の人、たとえばキャスティングしてくれる人を増やそうかなと。1日何組かのアイドルが出演するなかで、僕が基本的には出演アイドルを選んでいるんですけど、名物プロデューサーたちに参画してもらって、その推薦枠とか。出演者を増やして行こうかなと思っています」 ライブアイドル界も先の見えないコロナ禍にあって、それでも一手、二手先を見据えた動きが必要とされるのだろう。 (写真と文:志和浩司)