《歌舞伎町ルポ》「中高一貫校に入れたのにホス狂に」…トー横キッズの親たち「悲痛の告白」
売春、飛び降り自殺、市販薬の過剰摂取……。事件や事故が相次ぐ「トー横キッズ」は、決して特殊な家庭で生まれ育ったわけではない。歌舞伎町の社会学を研究する気鋭のライターが、彼らの親に迫った。 【マンガ】追いつめられた女性が「メンズエステ」の世界で味わった「壮絶体験」 取材・文/佐々木チワワ(ライター) ささき・ちわわ/'00年生まれのライター。「歌舞伎町の社会学」を研究している。著書に『ホスト!立ちんぼ!トー横! オーバードーズな人たち~慶應女子大生が歌舞伎町で暮らした700日間~』(講談社) 前編記事『《歌舞伎町ルポ》「全身血だらけで帰宅」「整形したがる」…トー横キッズの親たちが明かす「我が家の教育法」』より続く
予備校からホストクラブへ
専業主婦である松木かおりさん(46歳・仮名)の話も紹介しよう。夫は大手の総合商社に勤めていて、二人の間にはひとり娘がいる。教育熱心な家庭だったようで、都内にある私立の中高一貫校に娘を入れると、東大に進学させるため、中学1年生から予備校に通わせていた。 「正直、娘はルックスが良いほうではありません。だからこそ、勉強して自立した大人になってほしかった。でも、良かれと思ってやったことが裏目に出たのでしょうね」 そして、娘は東大に落ちてしまう。肩を落としつつも諦められなかった松木さんは、滑り止めで受かった私大で仮面浪人させることにした。 「娘は予備校で出会った友達に勧められて、ホストクラブにのめりこむようになったんです。家にも帰らなくなり、歌舞伎町のホスト好きの友人とつるむようになりました。派手な化粧と異様なファッションをしている娘を見て絶句したことを覚えています。 何とか話を聞いてみると、『初めてチヤホヤしてもらえて嬉しかった』と……。お小遣いも最低限しか渡していなかったので、ホストで遊ぶようなカネをどこで稼いでいるのかも知りませんし、知りたくもありません」 すべてに当てはまるわけではないが、これまで紹介したような「普通の家庭」で生まれ育ったトー横キッズは多い。親たちは「なに不自由なく育って、学校でも問題は起こさなかったのに……」と嘆くが、なぜボタンの掛け違いが生じたのか。