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脳梗塞で倒れ家族がとめても夜間中学校へ 87歳「ずっと行きたかった場所」 戦争で失った学ぶ喜び取り戻す

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沖縄タイムス

 NPO法人珊瑚(さんご)舎(しゃ)スコーレ(那覇市、星野人史代表)で8日、夜間中学校とフリースクール高等部の「卒業を祝う会」が開かれた。夜間中学校を今年卒業したのは、これまでの卒業生で最高齢となる87歳の具志堅政雄さん=同市首里山川町。大病による2度の長期入院を乗り越え、つえをつきながら教室までの階段を毎日上った。「ずっと行きたかった場所が、ここでした」。沖縄戦で奪われた学ぶ喜びを取り戻し、少し照れた笑顔で花束を受け取った。 (社会部・鈴木実)  米軍の攻撃が激しくなったのは、政雄さんが首里第三国民学校(当時)6年生の時。防空壕掘りにかり出され、学校どころではなくなった。学童疎開船「対馬丸」に乗る予定だったが、手違いで別の船になり、生をつないだ。  熊本に疎開中、沖縄に残ったすぐ下の弟や妹は、空襲や栄養失調で亡くなった。戦後まもなく父親も他界。長男の政雄さんが父親代わりになり、米軍のごみ拾いなどをしながら弟や妹の面倒を見た。学校に行っている同級生に会うと、うらやましくて目をそらせた。  数年前、新聞で夜間中学校の存在を知り「自分でも行けそうな学校があった」と胸が高鳴った。それでも半信半疑のまま、84歳で入学。70代や80代の同級生が多く、一緒に机を並べる生活はすぐにかけがえのないものになった。  「授業も行事も、クラスメートとのおしゃべりもみんな楽しい。苦労してきたのが自分だけではないことを知り、肩の荷が軽くなる思いでした」。祝う会でそうあいさつすると、会場から大きな拍手が起きた。  入学後に大病を患い、昨年12月には脳梗塞で倒れた。仲間を心配させたが、1月になるとつえをついて復帰した。次女のかおりさん(44)は「『学校に行くから早く退院しないと』って。体調がすぐれず家族がとめているのに、こっそり家を抜け出して学校に行っていることもありました」と涙ぐんだ。  高等部を卒業する上野響生さん(18)、東佳祐さん(18)と一緒に壇上に並び、大勢の在校生やスタッフから祝福を受けた政雄さん。「またメンソーリヨー(来てください)」と声を掛けられると、うれしそうに「うん、うん」とうなずいた。仲間に会いに、これからも機会を見つけては学校に顔を出そうと思っている。 (写図説明)87歳で夜間中学校を卒業し、在校生やスタッフから花束を贈られる具志堅政雄さん=8日、那覇市樋川の珊瑚舎スコーレ(鈴木実撮影)

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