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東証は全面ダウン…デジタル社会を支えるIT大手は好機到来

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日刊ゲンダイDIGITAL

【プロはこう見る 経済ニュースの核心】  コロナ禍でITインフラの脆弱さを世界に知られた日本。デジタル庁創設方針が示された直後の10月1日(木)、4日(日)の「投資の日」を控えた月替わりの初日に、東京証券取引所はシステム障害で初めて全銘柄の取引を終日停止した。  東証は1日午後5時すぎに記者会見し「本日朝7時4分に売買システムのディスク装置の故障が発生し、相場情報配信業務や、売買監視業務に異常が発生。これにより株価等の相場情報が正常に配信できなくなった。(中略)終日売買停止することにした」と説明した。  東証と富士通は2015年9月24日、東証の株式売買システム「arrowhead」(10年1月導入。05年11月に約3時間全銘柄の取引ができなくなり、06年1月にも取引全面停止に陥った)をリニューアルして運用を開始。処理能力は旧システムの2倍以上に増強され、リスク管理の新機能も実装した。  19年11月にはarrowheadを刷新し、富士通製のサーバーを使い売買取引に関するデータ処理をディスク装置(サーバー)のメモリー上で完結させ、サーバーを三重化することで最新データを確実に保持できるようにした。  今回、故障したディスク装置とは、19年11月に納入されたもので約350のサーバー群で構成されるもののひとつ。取引開始前の定時処理を行う際、各サーバーより共有が必要な情報が格納、参照する場所として機能する装置だ。  これが9月末の決算期末日だったら、日銀や金融機関などは保有株式、ETFなどの棚卸しに期末株価を用いる決算処理が困難となり、海外機関投資家の決算作業も滞る前代未聞、未曽有の大惨事になっていた。  私がシステムエンジニアのとき、証券会社の総合オンラインシステムの構築に携わり、財務会計分野を担当、自動仕分けから財務諸表の自動作成まで一気通貫で処理するシステムを設計、運用テストでバグを潰し、本番稼働にこぎ着けるまで会社に泊まり込み、それこそ24時間仕事をした。それでも本番稼働後にトラブルは起こり、緊急対応に追われた。350もあれば1台くらいトラブルを起こすのは当然に思える。  東証の事故は、大規模ネットワークシステムを運用する官公庁、金融機関、事業会社には「他山の石」の警告に映っただろう。  10月1日に発表された日銀短観では、20年度ソフトウエア設備投資は前年度比6・4%増(前回調査4・8%増)と上方修正されていたが、この事件を通してさらに増額されるだろう。富士通は残念だが、デジタル社会はコンピューターシステム会社抜きに構築できない。NEC、SCSK、NRI、日本ユニシスなどIT大手に好機到来だ。 (中西文行/「ロータス投資研究所」代表)

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