【AJCC】瞬発力よりも総合力の高さがものをいう アリストテレスより狙いたい馬とは
上級条件では3コーナー入口からペースアップすることも
AJCCが行われる中山芝2200mは、最後の直線の入り口からスタートして高低差5.3mの頂上を目指して坂を上り、向こう正面で坂を下るコース。外回りで円状コースということもあり、前半のペースが上がりにくい。 【東海ステークス 2021最終予想】軸は枠が決まって鉄板になった馬!穴は雨馬場大歓迎なあの馬!(SPAIA編) 円状コースで最初のコーナーで外を回ると、終始外々を回ることにもなりかねないため、特に外枠の馬はロスを嫌って、前の位置を取れない馬は下げて内という選択をしてくることが多い。このためペースが速くないのに隊列が縦長となり、結果、後方勢が前を捕らえ切れずに終わる現象が起こりやすい。 しかし、上級条件だと前半5F目までがスローペースでも、向正面の下り坂で勢いに乗せ、3コーナー入口(おおよそラスト5F地点)から一気にペースアップする場合がある。実際に過去10年のAJCCでラスト5F目が最速だったことが2度あり、その年は3コーナー10番手以下だったヴェルデグリーン(2014年・1着)と2017年のゼーヴィント(2017年・2着)が連対している。 今回はジェネラーレウーノの逃げが濃厚だが、同馬は昨秋のオールカマーでは前半5Fを64.3というかなり遅いペースで逃げながらも、前記のような早仕掛けをされて失速している。今回は武藤騎手への手替わりとなるが、オールカマーの二の舞となり、差し馬が台頭するレースになる可能性も否定できない。 しかし、前半のペースが速くならないということは、好時計決着にはならないということでもある。このため平均的にスピードを持続させることが得意な馬が展開に関係なく上位入線することが多い。
最も狙いたいのはヴェルトライゼンデ
能力値1位のアリストテレスは、コントレイルを最も脅かした菊花賞2着馬だ。菊花賞ではコントレイルが最も取りたい位置である同馬主のディープボンドの後ろを取って、内のコントレイルを外に出さないようにふさぐ形で追走。しかし、4コーナーでディープボンドが内に進路を取り、アリストテレスが遠心力でやや外に膨らんだ間をコントレイルが突いて抜け出すと、最後まで2頭のマッチレースとなった。 3着のサトノフラッグを3馬身半差引き離していることからも、強かったのは間違いなく、4歳馬の中ではコントレイルに次ぐ、NO.2の評価ができる。また、前々走で芝2200mの小牧特別を早め先頭から押し切って勝利しているように、距離も問題ない。ただし、今回は菊花賞を大目標にした後の再始動戦。太目が残りやすい厳冬期でもあるだけに、半信半疑だ。それならヴェルトライゼンデの方に重い印を打ってみたい。 ヴェルトライゼンデは菊花賞で本来の能力を出し切れていないと見ていること、平均的にスピードを持続させることが得意と見ているからだ。同馬は菊花賞では7着に敗れたが、これは休養明けの神戸新聞杯でコントレイルと0.2秒差、2着まで追い詰めた反動だろう。その神戸新聞杯ではジリジリと最後までしぶとく伸びている。 また、神戸新聞杯では後方でじっと我慢し、3~4コーナーでも最後方に近い位置で進めながら、できるだけロスなく内目のスペースを拾って4コーナーの出口に楽々と誘導できていたあたりからレースセンスもある。日本ダービーで完敗したサリオスのような切れる脚はないが総合力が高く、平均的にスピードを持続させることができるタイプだ。 菊花賞ではアリストテレスを徹底マークで乗り、後方からレースをした後の一戦となるために、今回で後方からの位置になり過ぎた場合を考えると上位の印を打つのは怖かった。しかし、内枠の今回はある程度前を意識して動いて行くだろう。本質的にはステイヤーだけに、楽に前の位置が取れればしぶとい粘りを見せてくれるだろう。