「七月大歌舞伎」開幕、鈴木敏夫が歌舞伎版「風の谷のナウシカ」の見どころコメント
「七月大歌舞伎」が、昨日7月4日に東京・歌舞伎座で開幕した。 第1部には、“三代猿之助四十八撰の内”として繰り返し上演されてきた「當世流小栗判官」がラインナップ。本作で、市川猿之助は小栗判官と浪七、市川笑也はヒロイン・照手姫を勤め、2人は天馬に乗っての宙乗りで魅せた。なお公演初日に、笑也が宙乗り1000回目を迎えたことから、猿之助は宙乗りの場面で、笑也に向かって「今日はそなたの宙乗り1000回目」と声をかけ祝福した。 【画像】「七月大歌舞伎」第1部「當世流小栗判官」ポスター(他3件) 第2部には、市川海老蔵が登場する「夏祭浪花鑑」と「雪月花三景」の2演目が並ぶ。「夏祭浪花鑑」では、海老蔵が約8年ぶりに団七九郎兵衛を勤める。「雪月花三景」には、海老蔵が長女の市川ぼたん、長男の堀越勸玄と共に出演し、華やかに舞い踊った。なお海老蔵が親子3名で歌舞伎座の舞台に立ったのは、今回が初めてのこととなる。 第3部は、宮崎駿のマンガ「風の谷のナウシカ」(徳間書店)を原作とした「風の谷のナウシカ 上の巻 ―白き魔女の戦記―」が上演される。今回は2019年上演版の昼の部で展開された、原作マンガの前半部分をもとに、皇女クシャナに焦点を当てた物語が描かれる。初演版でナウシカ役を演じた尾上菊之助が今回はクシャナ、初演版でケチャ役を演じた中村米吉がナウシカを演じる。また、菊之助の長男・尾上丑之助と長女・寺嶋知世が、それぞれ幼き王蟲の精役と幼きナウシカ役にキャスティングされた。クライマックスでは、米吉が飛行装置・メーヴェでの宙乗りをし、会場が拍手で包まれた。 また、スタジオジブリの鈴木敏夫代表取締役プロデューサーからコメントが到着。鈴木は、初日の感想を「改めて『風の谷のナウシカ』ってね、一見、無国籍のそういう舞台に見えるんだけれど、実は伝統ある日本の時代劇、それを踏まえて作られた物語であることを改めて実感しました。だから、今のナウシカを見ていても、菊之助さんがやったクシャナを見ていても、何かこういうことを言っていいかどうか……宮本武蔵と佐々木小次郎みたいな……そこら辺が僕は面白かったですね」と述べ、さらに「今回、スタッフの方がいろいろ考えてね。クシャナを主人公にした。さあどうなるか!ってところが見どころです」と語った。「七月大歌舞伎」は、7月29日まで歌舞伎座にて。 ■ 鈴木敏夫コメント □ 初日の感想 改めて「風の谷のナウシカ」ってね、一見、無国籍のそういう舞台に見えるんだけれど、実は伝統ある日本の時代劇、それを踏まえて作られた物語であることを改めて実感しました。だから、今のナウシカを見ていても、菊之助さんがやったクシャナを見ていても、何かこういうことを言っていいかどうか……宮本武蔵と佐々木小次郎みたいな……そこら辺が僕は面白かったですね。改めてそう思います。ナウシカとクシャナが何て言うんだろう、ぶつかり合ってね、ある迫力を生み出していけば、もっと面白くなるだろうなとそんな感想を持ちました。 □ 見どころ 見どころはただ1つですよ。「風の谷のナウシカ」といえば、主役はナウシカ、それを今回、スタッフの方がいろいろ考えてね。クシャナを主人公にした。さあどうなるか!ってところが見どころです。 ■ 「七月大歌舞伎」 2022年7月4日(月)~29日(金) 東京都 歌舞伎座 □ 第1部 「三代猿之助四十八撰の内 通し狂言『當世流小栗判官』市川猿之助 市川笑也 天馬にて宙乗り相勤め申し候」 原作:近松門左衛門、文耕堂・竹田出雲、勝諺蔵 脚本:奈河彰輔 補綴・演出:石川耕士 演出:市川猿翁 出演 小栗判官 / 浪七:市川猿之助 照手姫:市川笑也 矢橋の橋蔵 / 横山太郎:坂東巳之助 万屋娘お駒 / 岡村采女之助:尾上右近 横山三郎:市川男寅 遊行上人弟子一真:寺嶋眞秀 横山次郎:市川青虎 横山太郎女房浅香:中村梅花 旅女房およし:市川寿猿 後家お槙:市川笑三郎 横山大膳:市川猿弥 鬼瓦の胴八:市川男女蔵 浪七女房お藤 / 上杉安房守:市川門之助 遊行上人:中村歌六 □ 第2部 一、「『夏祭浪花鑑』住吉鳥居前 三婦内 長町裏」 作:並木千柳、三好松洛 出演 団七九郎兵衛:市川海老蔵 一寸徳兵衛:市川右團次 お梶:中村児太郎 琴浦:中村莟玉 伜市松:堀越勸玄 玉島磯之丞:大谷廣松 下剃三吉:市川九團次 三河屋義平次:片岡市蔵 おつぎ:市川齊入 堤藤内:市村家橘 お辰:中村雀右衛門 釣舟三婦:市川左團次 二、「新歌舞伎十八番の内『雪月花三景』仲国」 出演 仲国:市川海老蔵 女蝶の精:市川ぼたん 男蝶の精:堀越勸玄 虫の精:市村竹松 同:大谷廣松 同:市川男寅 同:中村莟玉 同:市川九團次 小督局:中村児太郎 仲章:中村種之助 八条女院:中村福助 □ 第3部 「風の谷のナウシカ 上の巻 ―白き魔女の戦記―」 原作:宮崎駿(徳間書店) 脚本:丹羽圭子、戸部和久 演出:G2、尾上菊之助 演出・振付:尾上菊之丞 協力:スタジオジブリ 出演 クシャナ:尾上菊之助 ナウシカ:中村米吉 アスベル / 口上:尾上右近 ケチャ:中村莟玉 幼き王蟲の精:尾上丑之助 幼きナウシカ:寺嶋知世 ラステル:上村吉太朗 クロトワ:中村吉之丞 ミト:市村橘太郎 トルメキアの王妃:上村吉弥 ジル:河原崎権十郎 城ババ:市村萬次郎 チャルカ:中村錦之助 ユパ:坂東彌十郎 マニ族僧正:中村又五郎 ※2022年7月19日追記:新型コロナウイルスの影響で、7月18日の第1部「當世流小栗判官」、19日の全プログラムが中止になりました。