コロナ禍で自転車ブーム再燃! BROTURES 福井雄大が語る、サイクルカルチャーの可能性
都市を取り巻くサイクルカルチャーを探求すべく、さまざまなサイクルショップを巡る連載企画が始動した。記念すべき1回目は、東京・原宿にある「BROTURES(ブローチャーズ)」。“99%ピストバイクに特化した専門店”という同店で、長年日本のピストバイクブームを牽引してきた代表に、昨今の自転車事情についてインタビューした。 【写真を見る】福井氏が熱をあげるe-bike「MATE.bike」とは?
都市生活者を魅了し続ける、120年規格の変わらない乗り物
2000年代半ば、“ピストバイク”と呼ばれる自転車が日本のストリートカルチャーを席巻した。NYやサンフランシスコのメッセンジャーにルーツを持つこの自転車は、競輪選手などが乗る競技用自転車(固定ギアを搭載し、ブレーキを搭載しないもの)をベースとしたカスタムバイクで、そのスタイリッシュなフォルムと斬新な乗り心地が多くの若者を魅了し、またたく間に地位を確立。海外のメッセンジャー&ストリートカルチャーを伝える架け橋として、日本国内のファッションシーンにも多くの影響を及ぼした。 それから10余年、30~40代の男性を中心にピストバイクが再び熱を帯びはじめている。 「オープンから10年以上経ちますが、2019年から2020年にかけて、再び需要が大きく伸びているように感じます」 そう話すのは、原宿にあるピストバイク専門店・BROTURESの福井雄大氏。太く力強いフォルムのダウンチューブが特徴のサイクルブランド「LEADER」や、バルセロナ発「DOSNOVENTA」の旗艦店の代表であり、長年日本のピストバイクブームを牽引してきたキーマンでもある。コロナ禍の東京において、なぜピストバイクが再び注目されているのか。福井氏は次のように話す。 「海外からの観光客も減少傾向にある昨今、多くの人たちにとって、結果的に東京という街を、そして自身のライフスタイルを見つめ直す機会にもなっています。ひとりで過ごす時間も増えた今だからこそ、あらためて本格的に自転車に乗りはじめようという方も増えているのではないでしょうか。また、お客様のなかには、以前乗っていたピストバイクやフレームをリフレッシュして楽しむ方も多く、“もう一度自分の自転車に乗ってみよう”という想いも感じられます。それが結果的に、ピストバイクの再ブームへと繋がっているんだと思います」 満員電車とは無縁。優秀なアーバン・モバイル・ツールであると同時に、休日に身体を動かすためのスポーツギアであり、自身のモチベーションを高めてくれる相棒でもあるピストバイク。福井氏は「ダイヤモンドフレームに700cサイズのタイヤを備え、チェーン駆動で固定ギアを回転させて進む。これって、チェーンを使った自転車が誕生してから120年くらい規格が変わらないんですよね。22世紀になっても、きっと乗られているでしょう」、そう続けた。