「錆」や「欠品」だらけの1台から、荷箱も寸分違わぬかたちでフルレストア|歴代ミゼットのガレージ Vol.5
歴代ミゼットのガレージ Vol.5 1959年4月から、ダイハツが輸出用左ハンドルの仕様で生産を開始したミゼットMPA。そんなMPAをネットオークションを通じて、2006年にアメリカのカリフォルニア州のクルマ屋から、部品取り車と合わせて2台のMPAを購入したオーナーの山口さん。 トライモービルの文字が記載されている型式プレートや分解して清掃されたメーカー。ボロボロの状態だった輸入直後の状態など【写真11枚】 山口さんが購入したミゼットMPAは、翌2007年2月に横浜の本牧ふ頭に到着。通関後、山口さんは積載車を自ら運転して2台を引き取りに行った。ノスタルジックヒーローVol.152の表紙を飾ったミゼットMPAは、その時に部品取り車として日本に戻ってきた個体だったのだ。 「届いたときは、サビがたくさん出ていてボロボロの状態。荷箱も付いていませんでした。もう1台の形になっていた青いボディのほうは、整備してミゼット仲間に譲り、私は状態の悪いほうを再生することにしました」 ボディは、山口さんが信頼している埼玉県三芳町のオートボディー・ナガミネに預け、フルレストアを敢行。青いボディから寸法取りして、荷箱も寸分違わぬかたちで再現。純正色のホワイトで新車当時の姿を甦らせたのだ。 ミゼットMPAのサイズは、全長2685mm、全幅1296mm、全高1510mmの車体寸法は、現代の軽自動車(3400mm × 1480mm × 2000mm以下)と比べてもかなり小ぶりだ。最初のモデルということで、荷箱も歴代で一番小さい。しっかりした形の荷箱は、レストア時に平鋼板からすべて起こしたそうだ。プレスラインの入れ方なども、もう1台あった青ボディの荷箱から寸法取りして製作した。荷箱のアオリには、独特の欧文書体のステッカーが付く。最大積載量は300kg。 フロントフェンダー中央には、折り鶴があしらわれMPA専用のエンブレムが付く。日本のダイハツのプライドと意気込みが感じられる。 車室内も見事に再生されており、ドアのビニールウインドーは、赤いシートとともにテント屋で製作した。ちなみにブレーキはペダルからロッドを介して、リアドラムにつながっている。 左右のドアにカギは付かず、サイドブレーキの先端にカギ穴があり、駐車時にレバーを引いた状態でロックする。こうした機構は密閉された空間を持つ4輪自動車というより、オートバイに近い感覚といえるだろう。 輸入したときの状態は、荷台も着いてない上、内装もボロボロ。それがこのように仕上がったのだから驚く。 山口さんのミゼット愛がいかに深いかの証である。 1959年式ダイハツ ミゼット(MPA)主要諸元 ●全長2685mm ●全幅1296mm ●全高1510mm ●ホイールベース1740mm ●トレッド後1122mm ●最低地上高140mm ●荷箱長960mm ●荷箱幅1100mm ●荷箱高425mm ●積載量300kg ●乗車定員2名 ●最小回転半径2.5m ●エンジン型式ZAB型 ●エンジン種類強制空冷2サイクル単気筒 ●総排気量249cc ●ボア×ストローク65×75mm ●圧縮比6.2:1 ●最高出力10ps/4500rpm ●変速段階前進3段・後進1段 ●燃料供給方式ポンプ圧送式 ●潤滑方式混合潤滑式● 始動方式ダイナスターター式 ●クラッチ乾燥半板式 ●トランスミッション選択揺動歯車式 ●燃料タンク容量15L ●リアアクスル半浮動式 ●ブレーキ機械式内拡型 ●タイヤ前/後5.00-9-4P/5.00-9-6P ●発売当時価格 国内未発売・不明
Nosweb 編集部