転職で「年金が二重払い」になってしまいました…返金は可能ですか?
日本の公的年金制度は、主に国民年金と厚生年金の二種類に分類されます。満20歳を迎えた日本国民は、いずれかの年金制度に必ず加入しなければなりません。 ただ、国民年金の加入者が就職して厚生年金に加入した際など、まれに年金の二重払いが起こってしまうことがあります。その場合、返金は可能なのでしょうか。 また、可能だとすればどう手続きすれば良いのでしょうか。今回は、年金二重払い時の対処法について紹介します。 【画像】年金が「二重払い」になるケースとは?返金は可能?
年金の二重払いはどういうときに起こりやすい?
日本の公的年金制度は、俗に2階建ての構造をしているとよくいわれます。1階部分にあたるのが、基礎年金と呼ばれる国民年金です。国民年金は20歳以上から60歳未満の国民全員に加入義務があります。 一方、厚生年金は年金制度の2階部分にあたり、国民年金に加入している人が会社員や公務員として勤務する際に加入する年金です。 ただ、会社員や公務員は、厚生年金に加入する過程で国民年金から離脱するわけではなく、国民年金と厚生年金の両方に加入する形となります。両属の状態とはなりますが、厚生年金の加入者は厚生年金の保険料だけを支払えば良く、国民年金の保険料を別途支払う必要はありません。 ところが、国民年金と厚生年金の保険料を、うっかり両方納めてしまうということがまれにあります。 例えば、個人事業主として国民年金に加入していた人が、その月の国民年金の保険料を払った後に会社員として就職した場合や、国民年金を1年分先払いしていたのに、途中で転職して厚生年金に加入した場合などです。 これらのケースでは、本来なら払う必要のない保険料を重複して支払っていたことになります。
払い過ぎた年金は取り戻せる!
国民年金と厚生年金の保険料の二重払いが発覚した場合は、年金事務所から「国民年金保険料還付請求書」という書類が送付されます。 この書類は、その名の通り払い過ぎた年金保険料を返還してもらうための請求書です。同封されている「国民年金保険料過誤納額還付・充当通知書」という案内を参考に、必要事項を記入して返送すれば、後日払い過ぎた保険料の還付を受け取ることができます。 還付金は、銀行振り込みのほか、郵便局の窓口で受け取ることもできます。ただし、実際に還付金を受け取るには、請求書を返送してから1~2ヶ月ほど要するのが通常です。 二重払いが発覚してから起算しますと、払い過ぎた保険料が戻ってくるまで相当の日数を要することになるでしょう。ですから、還付金の受け取りに関しては気長に待つ必要があります。 また、年金の二重払いが発覚した場合は、確定申告の際にも注意が必要です。社会保険料控除という制度によって、税金の計算は支払った社会保険料の影響を受けます。 正しい金額の税金を納めるためにも、その年に支払った年金保険料は正確に申告しなければなりません。もし年金の納めすぎで還付金を受けっていたなら、勤務先の年末調整に申告するか、自分で確定申告するなどして正しく手続きを行いましょう。