「福沢諭吉は牛乳推し」「理性的な人が紅茶キノコに熱狂」…畑中三応子が食の流行を追い続けるワケ
【終わりに】
「健康欲」の強い日本人、その強さによって右往左往してしまう人間たち。畑中さんの文章には、そんな日本人に対する「おかしくも、いとおしい」といった目線を感じる。そしてまた「健康食の情報には、できるかぎりのリテラシーをもってのぞんでほしい」という切なる願いも含まれているように思う。 その作品群が単なるヘルシーフードの羅列や大衆熱狂の記録に終わらず、面白い読みものになっているのは、そういう目線と姿勢があるからこそなのだと実感したインタビューとなった。 畑中三応子(はたなか・みおこ) 食文化研究家。1958年、東京都生まれ。編集者としても活動し、これまでに約350冊の料理本を手がける。第3回食生活ジャーナリスト大賞のジャーナリズム部門を受賞。主な著書に『ファッションフード、あります。はやりの食べ物クロニクル』(ちくま文庫)、『〈メイド・イン・ジャパン〉の食文化史』『カリスマフード 肉・乳・米と日本人』(ともに春秋社)など。 白央篤司(はくおう・あつし) フードライター、コラムニスト。「暮らしと食」をテーマに、忙しい現代人のための手軽な食生活のととのえ方、より気楽な調理アプローチに関する記事を執筆する。近著に、卒業間近の美大生、就職したばかりの青年、保護犬猫60匹と暮らす女性、日本に暮らす韓国人男性、奥さんを亡くしてひとり暮らしの85歳の男性……などなど、18人の「きょうの鍋」と個人史を追ったノンフィクション『名前のない鍋、きょうの鍋』(光文社)がある。 熱狂と欲望のヘルシーフード 「体にいいもの」にハマる日本人 定価 1,980円(税込) ウェッジ
白央篤司