「捏造するしか...」お立ち台懲罰に神様上司 日野自動車不正、調査報告に衝撃「ダメな日本企業の典型例」
「どうせ言ったところで何も変わらない」
(3)の「開発プロセスにおける問題点」は、開発を管理するマニュアルやルールが十分に整備されていない、一応は存在するも徹底されていないとの指摘だ。 多くの従業員は問題との認識があったものの、「見て向ぬふり」をしていた可能性がある。「マニュアルやルールどおりに業務が行われない状況が常態化することで、従業員のマニュアルやルールを軽視する風潮や、『どうせ言ったところで何も変わらない』といった諦め感を増長した可能性も考えられる」(調査委)。 アンケートでは、チェック体制の甘さから「不正な判断で発売したとしても、何年かしてしまえば、『私の判断でない。知らない。』と言えば、逃げ切れる可能性が高い」とガバナンス不全を嘆く回答もあった。 最後の(4)「法規や制度を軽視する姿勢」では、「『前と同じじゃダメなの?』、『そんな細かいこと気にしなくてもいいんじゃない?』、『ちょっとくらい大丈夫でしょ』という雰囲気を嫌というほど感じた」などと、コンプライアンス意識の低さを挙げる回答が複数あった。 調査委はアンケート結果から、これらの原因を生んだ企業風土や体質は次の7点だと考察している。主な回答とともに紹介する。
上司は神様
・人事評価や人材登用のあり方 「事なかれ主義でいても時がきたら昇格、チャレンジや意見を主張してもプラスの評価がないため、自分で意志を持たない、考えない、言わない、といった人材が量産された会社となっている」 「裸の王様(部下からのうわべだけ綺麗にまとめられた報告を鵜呑みにする)になっていた経営層にも問題があるが、ちゃんと手を上げようとしない部長クラスにも問題がある。部長クラスが保身(自分が責められないように)に走らなければ、もっと部下からの訴えに耳を傾ける人ならば、こうはならない。従業員は会社に呆れている。期待もしていない。どうせ言ったところで誰もなにもしてくれないと諦めている」 「技術者サイドとしては、目標を達成できない場合、役員や上司からの適切なアドバイスではなく叱責や評価への悪影響が待ち構えているため、役員や上司から叱責されない手段を模索し始める。しかしながら、開発における物理現象を精神論では変えられない。データを捏造するしかなくなる」 ・組織運営や人材育成のあり方 「新組織立上げが頻繁に行われているが、体制が整わないままで動き出す事が多く、担当が曖昧なままで進んでしまう。その為、三遊間(編注:責任の所在が不明な業務)が発生したり、引継ぎができず担当不在の業務が発生したりする」 ・パワーハラスメント体質 「声の大きな社員は技術力が弱いことが多い印象であり、達成根拠の希薄な目標を一方的に技術者に押し付けている傾向が強いと考える」 「先輩が新人にする教育は高圧的で、脅迫することで、『上には逆らえない』を植え付けさせるものであったと感じる。このような教育もあってか日野自動車は上の意見は絶対で、神様の様に崇め、上(神様)が決めたことが絶対であり、未達成はありえない風土が形成されていった様に考えられる」