にじむ樹液「明連漆」採取ピーク 岡山・真庭市蒜山の植栽地 今季から名称一新
品質の高さで知られる備中漆の採取作業が、岡山県真庭市蒜山上福田の明連(みょうれん)地区の植栽地で最盛期を迎えている。より地域に根差した漆として親しまれるよう、今季から名称を地区名にちなみ「明連漆」に一新。8月いっぱいは作業を続け、岡山県重要無形民俗文化財・郷原漆器の製作に生かす。 【動画】漆を採取するディロングさん 市の委託を受けた郷原漆器発展会代表の木工作家デービッド・ディロングさん(45)=同市=が7月上旬から週2日取り組む。 2・5ヘクタールに並ぶ約750本のうち、採取に適した樹齢15~20年の10本で作業。5日は樹皮を剥がした幹に特製のかんなで溝を刻み、にじみ出る白い樹液をへらですくい容器に集めた。漆液は半年かけ熟成させる。 備中漆は1960年代から生産量が激減。岡山県郷土文化財団と林原共済会が94年から復興のため、真庭、新見市で植栽を進め、現在は両市が管理している。 真庭市は名称変更とともに、樹液がよく出た木の根から苗木を増やす取り組みも昨年始めた。4月に「郷原漆器の館」(同市蒜山上福田)の館長に就いたディロングさんは「備中漆としての歴史を土台に、採取から植栽までの新たなサイクルが始まる。真庭の貴重な漆や郷原漆器を次世代へつなげられるように頑張りたい」と意欲を燃やす。