なぜか「尾骨」にあらわれる、人の“心のしんどさ”…心と体は「互いに」密接に影響し合っている
帰り際スッキリした顔で「先生また来ます!」とおっしゃるので、「痛みがないなら来なくて結構ですよ。お家で奥さんと一緒にまくら体操(私が考案した「背骨」と「骨盤」にアプローチするセラピー体操のこと)してください」と言って見送りました。 その後、奥さんと一緒に体操に励み、ご家庭での夫婦の会話も増えて、腰痛も良くなったそうです。 ■心と体は「互いに」影響し合っている 人の体とはおもしろいものですね。そんなふうに、すこしメンタルが落ち込んでいる人や、やる気を失っていたり、引きこもり気味な人などは、たいてい腰が下がり、仙骨部分が硬く張り出し、尾骨がお尻の間に巻き込むような形になっています。
簡単に言えば、心が弱っている人は、姿勢が悪い場合が多く見られるのです。逆に、重いうつ状態だった人が、日常的に自分の体を整え、姿勢を改善していったことで、すっかり豊かな表情を取り戻すこともあります。 「気合いを入れたらできる」 「怖くないと思えば大丈夫」 「メンタルが強ければうつにはならない」 そんなふうに、心、いわば気の持ちようで「しんどさ」はどうにかなるものだと思っている人も多いかもしれません。でも、なかなかうまくいかないのが現実です。そして、心と体は「互いに」影響し合っているということも事実です。
心の様子が体の反応に表れることもあるし、それを心で止めようと思っても止められないこともある。体の反応で心の様子がわかることもあるし、体の状態が心を変えることもある。 だから私は、「しんどさ」を抱えて心だけに目を向けようとしてうまくいかないときは、ぜったいに体からアプローチするのが良いと思っています。
いちい 葉子 :整体指導士、からだデザイン研究所主宰