なぜか「尾骨」にあらわれる、人の“心のしんどさ”…心と体は「互いに」密接に影響し合っている
■「尾骨」は心の状態をうつしだす鏡 私たちはたくさんの「しんどさ」を抱えて生きている。そうだとした場合、その「しんどさ」とは、心の疲れなのでしょうか。それとも、体の疲れなのでしょうか。 たとえば、激しい運動をした後の「しんどさ」は、わかりやすく体の疲れですよね。一方、これまでお話ししてきたような「しんどさ」のループについては、どう考えても「心」の疲れです。だからみんな「心の処方箋」を求めている。心の栄養、心の休息を取ろうとしています。
けれど、私はここで断言します。心と体はつながっているんだ、と。 なぜなら、心の様子は体の様子にあらわれるからです。経験上、心に栄養や薬を与えても、それは一時の効果しかありません。むしろ、体にアプローチするほうが、心の「しんどさ」も解消しやすいと感じています。いちばん心と体のつながりがわかりやすい部位は、尾骨です。 たとえば、ワンちゃんはしっぽ(尻尾)で感情を表しますよね。うれしいことがあるとしっぽを高く上げ、ブンブンふる。叱られた後や怖いことがあったときは、しっぽをクルンと股の間にしまいます。人間も同じで、尾骨は感情をよく表す部分です。
以前、こんなことがありました。初めて操法(整体の指導を行うこと)にいらした女性に、うつ伏せになってもらったところ、一目で「骨盤が開いて下がって硬くなっている」とわかりました。 なにか大きなストレスを抱えているのかなと思い、尾骨とその上の仙骨に手を当てながら「いろいろ大変でいらっしゃるんですね」と静かに声をかけました。すると、彼女はせきを切ったようにダーッと泣き出したんです。ゆっくり話を聞いていくと、ご家族との関係で大きな悩みを抱えていらっしゃったようです。
また、こんな方もいらっしゃいました。激しい腰痛で奥さんに連れてこられたご主人。腰を診ると、仙骨は硬く尾骨はワンちゃんが叱られたときのように下がって巻いている状態でした。 「お仕事ができる方だけに、色々と大変でいらっしゃるんですね」とつぶやくと、そのご主人はガバッと起き上がって、「いや~そうなんですよ、実はですね……」と、職場でのストレスや、仕事の相談ごとまで私にされました。全く知らなかった奥さんは、驚いていらっしゃいました。