トヨタが描く“マイナス”エミッションの未来 寺師副社長インタビュー(5完)
“売る側の立場になると、仕入れ先さんがトヨタに対してどう思ってるかよく分かります”
池田:だからいろんなジョイントの中でいろんな人がそれを代行できる形にすると。 寺師:システムといっても、トヨタは部品を「B to B」で売ったことがないので、苦手なんですよね。売る側の立場になってみると、仕入れ先さんがトヨタに対してどう思っているかっていうのがよく分かりますよ。「こいつらまたわがまま言っとるな」っていうのが鏡に映った自分たちの姿なんですよね。だから僕はシステムサプライヤーになるっていうのも、トヨタ自動車が今度は「B to C」から「B to B」のビジネスを経験するということで、やっぱり仕入れ先さんの困りごととかそういうことも自分で認識するチャンスだと。 池田:トヨタの強靱化につながるわけですね。 寺師:なんだかんだっていっても、仕入れ先さんから持ち上げられて、勘違いして、全部自分たちがやってるんだって思っている人がたくさんいると思うんですよね。そうではないんですよね。やっぱり一緒にやっていただいてるところの技術で、僕たちは助かっているっていうのが、B to Bの部品販売を僕らは「他社販」って呼んでいるんですけど、他社販をやってみると、いかにわがままなメーカーが多いかがよく分かります(笑)。 これからどんどん重要度が増して行くのですが、アライアンスは難しいですよね。仲間を増やすために契約、MOU(了解覚書)を結んでやっていくんですけど、どんどん増やしていこうとすると、パートナー同士の了解がなかなか取れないとか、一番いいのはコンソーシアムみたいにして、もう来たい人は皆さん来てくださいよっていうのが一番やりやすいんですけど、トヨタがそれをやると、まだ信頼がないので「あいつら絶対なんか企んでやがる」みたいな感じでしょうね。 池田:そういう意味ではスズキ自動車の鈴木修会長の嗅覚はさすがでしたよね。あのタイミングポンと飛んでくるっていうのは。びっくりしましたよ。