「コロナ倒産」を横目に右肩上がりを続ける企業の“ある特長“
後継者問題に悩む企業が一足早く倒産
これとは逆に、本来、続くはずだった店舗や企業が店じまいをするケースも散見される。桂小五郎(木戸孝允)ゆかりの料理旅館「幾松」(京都市中京区)の閉店がまさにそうだった。 また、ギリギリ赤字にならない程度だった老舗が、後継者不在問題も絡んで以前から廃業するタイミングを計っていたところに、コロナ禍をきっかけに、「余力があるうちに店を閉めてしまえ」と決断したパターンもある。 少子高齢化に伴う後継者不足は、コロナ禍とは別の大きな問題である。後継者不足の救済のために、政府は事業承継税制の制度を創設した。それまで親族だけだった事業承継の対象を、従業員等の第三者にまで広げた。 しかし、産業そのものが衰退している場合には、それでも後継者がいない会社も少なくない。 地方で人口が減っていて過疎化が進んでいる地域は、このまま事業を継続しても先細りしていくことは見えている。コロナ禍という経営的には強烈な逆風が吹き、今後も業績の回復が見込めないとなれば、事業を畳む決断を下すのも無理はない。 コロナ禍で、本来潰れるべき企業が救済され、まだ生き残れる企業が店じまいをした。経済の原則に反する事象が、コロナ禍によって引き起こされた。 その反動は2021年に本格化する。本来、倒産するはずだった会社が救済措置というカンフル剤で生き延びたとしても、一時的な対症療法にすぎない。 経済が正常に戻るにしたがって、倒産が相次ぐことは目に見えている。ピークは去ったとしても、その影響が中長期化すれば本格倒産の時代がやってくる。
頭を使わない会社は淘汰されていく
業績悪化の話ばかりを耳にするが、この国難にあって前出の空調関連のように、利益を大幅に増加させている企業もある。 たとえば、調味料メーカーだ。コロナ禍で多くの人が外食を控えた結果、家庭内での食事機会が増えた。家庭で料理をつくる機会が増え、調味料メーカーの業績は好調である。 またマヨネーズを例にとれば、業務用スーパーなどでは1リットルサイズが、市販の400ミリリットルサイズと同じくらいの価格で売られている。 1リットルサイズのほうがお得なのは間違いないが、企業にとってはスーパーなどで売られている400ミリリットルのマヨネーズのほうが断然、利益率がいい。 ドレッシングにしても1リットルではなく、200ミリリットルのビン詰めのものが売れる。そのため、ビンの製造会社も儲かるという理屈である。 ちなみに、洗剤や消毒液の容器を作る機械メーカーは日本に2社しかない。もともと安定した供給があったが、コロナ禍で生産が追い付かなくなり、容器が足りなくなった。そこで消毒液メーカーが、自前で容器を作る動きがある。 プラスチックなどの容器はかさばるため、中国やベトナムから輸入するコストはそれなりにかかってしまう。まるで「空気」を運ぶために輸送料を払うようなもので、コストがもったいない。 ならば、自社で作ってしまえというわけだ。これまでは、単価が安いために設備投資をしても回収に時間がかかっていたが、需要が活況となれば、積極的に容器を内製する企業は増えていくだろう。