医療崩壊が全ての人にとって「他人事」ではない理由。尾身茂会長が避けたいと願う「最悪のシナリオ」
首都圏を中心に、新型コロナウイルスの感染が拡大している。日々の感染者数は増え続け、年末年始も予断を許さぬ状況だ。いま、どんな危機感を抱いているのか。それはなぜか。そして20代~50代の人々へ伝えたいこととは何か。BuzzFeed Newsは年末年始の休暇を控えた12月28日、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会長を務める尾身茂さんに単独インタビューをした。上下連載でお伝えする。【BuzzFeed Japan / 千葉雄登】 【動画】 「これ以上感染が続くと…」尾身会長が今年最後に伝えたいメッセージ
「感染は都心部から広がっている」
ーー分科会は繰り返し、対策強化を訴えています。しかし、その危機感がしっかりと伝わっているとは言えません。現状をどのように捉えていますか? はっきり言って、感染は全国に広がっています。 その中で都心部、東京を中心とした首都圏が感染の核になっていると我々は分析しています。 そこから、人の動きで全国に感染が広がったと考えています。 例外ももちろんありますが、何事にも原因と結果がある。どうしても、現象として現れたものに注意が向きますが、地方における感染拡大は結果であって、そうした感染は都心部から広がっているということを若い人たち含め、みんなに知ってほしい。
家庭内感染も「ひとつの結果」
どうしても家庭内感染というところが注目されています。 確かに家庭には高齢者もおられるので、なんとか家庭内感染は防ぎたい。でも、この家庭内感染もひとつの結果です。 例外もありますが、大きな傾向としては飲食を介した場のリスクが一番高い。そこで感染した人々が医療機関、高齢者施設あるいは直接家庭へ感染を伝播させています。 (飲食などの場で)感染する人は、20~50代の、活動が活発で、感染したとしても軽症あるいは無症状の人々が多い。 決して彼らの責任ではありません。ウイルスの特徴のせいです。そうした人々が気付かないうちに感染が広がっています。 結果も重要ですが、やはり原因を断たないとダメですよね。 地方であれば顔見知りも多く、感染のリンク(経路)の追えるクラスターが比較的多い。しかし、都会ではどうしても匿名性が高まり、リンクの追えないクラスターが多くなる。 そうしたことも手伝って、首都圏では感染がどんどんと広がっています。