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【帯広刑務所編】修羅場で評論家ではダメだ、ナメられたら正々堂々と戦うしかない《懲役合計21年2カ月》

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 元ヤクザでクリスチャン、今建設現場の「墨出し職人」さかはらじんが描く懲役合計21年2カ月の《生き直し》人生録。カタギに戻り10年あまり、罪の代償としての罰を受けてもなお、世間の差別・辛酸ももちろん舐め、信仰で回心した思いを最新刊著作『塀の中はワンダーランド』で著しました。実刑2年2カ月!  塀の中だろうが、シャバだろうが、男だろうが女だろうが、戦わなけらばならないときがある。たぶん、敵から遠ければ遠いほど、どんなに「ご立派」なご高説をぶろうが、状況を変えることはできない。イジメ問題の最良の答えは、ここにある。やられたら、正々堂々と戦うしかない。不当な暴力を「我がこと」として解決にするとはそういうことだろう。法は絶対だ。でも瞬間の不可視な状況の暴力には法は被害者の損害賠償のための装置でしかない。じんさんは、人間の真実を身をもって学んでいた。 この記事の写真はこちら ■男は男らしく、正々堂々と ガタ、ガタン!  突然、菊池たちの座っていたテーブル席で大きな音がした。  ボクは、もしやと思い、すぐに立ち上がって音のした方を見た。すると、先ほどまで遠山たちの席にいた酒井がテーブル席の菊池に飛びかかり、顔面に数発、拳を叩き込んでいるところだった。  「何するんだ、この野郎!」  不意打ちを喰らった菊池も負けずに怒声を上げ、鼻から血を噴き出しながらも反撃に出て、相手の酒井と長椅子の上で揉み合い、掴み合いとなった。  「オヤジさん、喧嘩です! 早く来てください!」  それを見た誰かが、慌てて階段の踊り場から担当台に向かって叫んだ。  担当台のところで村井に薬を飲ませていた「毒まんじゅう」は、その声を聞くと、  「何! 喧嘩か! よしわかった。お前たちは絶対に手を出すな! いいな!」  と言うと、担当台の脇の非常ベルのボタンを押して、管区に非常事態が起きている旨の電話をかけた。  ボクの場所から担当台は丸見えだった。  食堂の中が、思わぬ「ショータイム」に騒然となる。  ストーブの周りでのほほんとしていた奴らも、それまでの緩んでいた顔が一変。目を活き活きとさせ、固唾を呑んで喧嘩の行く末を見守っている。中には格好つけて、目の前で起きている喧嘩を止めに入ろうとする無粋な奴らもいたが、周りから野次が飛ぶと引っ込んでしまい、結局、止めに入ろうとする懲役は一人もいなかった。  階段を激しく駆け上がって来る音とともに、息せき切った「毒まんじゅう」が、目を見開いて食堂へ飛び込んできた。  喧嘩の二人は床の上を転がるようにして掴み合い、殴り合いの最中である。そこへ「毒まんじゅう」が駆け寄り、「二人とも、もうやめろ!」と叫びながら二人を引き離す。  すでに精魂つき果ててしまっていたのか、二人はさして抵抗もせず、おとなしく押さえつけられて床に這いつくばっている。仕掛けた酒井も、瞼の上を切り、鼻血を流していた。菊池が負けずに応戦し、酒井の顔面に頭突きを数発入れていたのだ。

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