「東京オリンピック」高まる中止論…賛否の意見が分かれるも、インターネット上では「コロナ対策にあてるべき」の声多数
声優としても活躍中の鈴村健一(月~木曜)と俳優の山崎樹範(金曜)、フリーアナウンサーのハードキャッスル エリザベスがパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「ONE MORNING」。1月18日(月)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」は、報道ベンチャーの株式会社「JX通信社」代表取締役・米重克洋さんに「『東京オリンピック』高まる中止論」について伺いました。
2021年夏に開催予定の東京オリンピック・パラリンピックの中止論が高まっています。開幕が半年後に迫るなか、国内でも新型コロナウイルスの感染が急拡大し、自民党や世論には中止論が台頭。菅義偉首相は「安心・安全な大会」の実現を目指していますが、感染収束の道筋は示されていません。 * * * 鈴村:こちらネットの反応はいかがですか? 米重:こちらは追加費用の問題もあるんですよね。延期したことによって、すでにお金がかかっています。「今回のオリンピックは中止にして、その分のお金をコロナ対策にあてるべきだ」といった趣旨の意見が目立ちました。SNS上の投稿数としては、中止や延期を求める声のほうが明らかに多くて、「できる」「やろう」という意見は少ないのがネット上の反応ですね。 鈴村:予定通り開催できるとすれば……どんな条件が揃っている必要がありますか? 米重:こちらは主に3つあると思います。1つは、予定通り開催するかを判断するタイミングが春ごろにあると思うのですが、このときに感染の波が収束している必要があるかなと思います。 2点目は、現在イギリスをはじめ世界中で変異種が見つかっていますが、この変異種のリスクがある程度解明され、対応が定まっていることが必要かと思います。選手やスタッフ、もしかしたら観光客も多数移動する可能性がある……という話ですので、ここは非常に重要なポイントになるかと思います。 3つ目は、ワクチンの確保です。オリンピックの開催に合わせて移動する人がたくさんいるので、その人たちにワクチンが行き渡っている状態を確保する必要があります。ただ、先ほどもお話ししたように、日本国内では一般のワクチン接種が早くて3月の予定なので、オリンピックに合わせて来日する選手や関係者、さらに観光客にまでワクチンを打つのか……という話になってきますので、けっこう難しいハードルがあるかなと思いますね。 鈴村:日本の政府やIOC(国際オリンピック委員会)からは、どういう声が出ているのでしょうか? 米重:IOCからは、開催の可否について「国連などの第三者に委ねるべきなのでは?」と不安視する声が上がっています。日本政府内でも、例えば河野太郎大臣がロイター通信のインタビューで「どちらに転ぶか分からない」と、本音とも取れるようなことを吐露していたり、オリンピック組織委員会の森喜朗会長も「あとは毎日、神様にお祈りする」「天を敬う。それしかない」と、かなり弱気に聞こえる発言をしています。各社の世論調査でも悲観的な声が非常に多いということで、ある意味世論のサポートがないことを政治家が不安視している可能性があります。 鈴村:予定通り開催できなかった場合、延期の可能性と、その時期はいつ頃になりそうでしょうか? 米重:夏季オリンピックに関しては、2024年がパリ、2028年がロサンゼルスでの開催が決まっています。例えば、これらをすべて4年延ばして開催するか、あるいはパリとロサンゼルスの2大会の後に移動するのか、という問題になってくるのかなと思います。 ただ2024年のパリ大会は、前回のパリ大会からちょうど100年というタイミングでの開催になるので、そこはずらしたくない……という思いはあるかもしれません。 また、中止という決断になった場合は、東京と日本は、かなりの経済損失を負うことになります。ただでさえ高コストで手を挙げる都市が減ってきているオリンピックが、今後世論の声が反対に傾くことで運営できなくなる……という状況を、IOCは危惧していると思います。 鈴村:延期もしくは中止の判断はいつ頃になりそうでしょうか? 米重:おそらく3月くらいになりそう、という話ですね。 鈴村:この話は、本当にいろんな観点で見なければいけない問題だと思います。たとえば、“選手のためにやるべき”という話で言えば、無観客も選択肢の1つだと思います。ただ、オリンピックの運営をするために、どれだけの費用がかかるかを考えていくと、何かしらの売上も加味しなければいけない。経済を動かす要因として大きいものがあると考えたときに、“無観客でやることに果たして意味があるのか”と唱える方もたくさんいらっしゃると思います。どのバランスを取るか……ということによって、開催すべきか否かを考えないといけない。なんとか、どこかに着地地点があることを祈ります。 (TOKYO FM「ONE MORNING」1月18日(月)放送より)