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【クルマ選びの新たな指標?】「ゴルディロックスの原理」を知っているか ホット過ぎずクール過ぎず 後編

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AUTOCAR JAPAN

もっとも魅力的な911

ロードテスターとして30数年を過ごしてきたが、GTモデルを除いてもっとも魅力的な911とは、つねにベースモデルだった。 【写真】アルピーヌA110 S (21枚) こうしたモデルはつねにもっともパワーで劣る存在でありながらも、ある意味ではもっともクルマとの繋がりを感じさせてくれるのだ。 ベースモデルであれば、控えめなサイズのタイヤを履いて、その軽量コンパクトなボディによってタイトなコースも軽々と駆け回り、シャシーやステアリングからは見事なフィールを感じることが出来るという、911に期待するすべてを味わわせてくれる。 もし、例外があるとすれば、ノーマルのカレラが積む自然吸気3.4Lエンジンの真価を発揮させるには、ハードなドライビングを試す必要があった991シリーズの最初の世代ということになるだろう。 もちろん、ラインナップにふたつしかモデルがなければ、ゴルディロックスの原理にも若干の修正が必要となる。 それでも、より速くより高価な存在よりも、スペックで劣る安価なモデルのほうが、ある意味見事な仕上がりを見せる例は枚挙に暇がない。

最高の例 アルピーヌA110

そして、現時点でその最高の例と言えるのがアルピーヌA110だ。 確かに俊足を誇ってはいるものの、このクルマはスピードそのものを重視しているわけではない。 A110が重視しているのはフィールや繊細さ、さらにはバランスといった、パワーでは決して達成することの出来ないものだ。 もちろんA110 Sも素晴らしいモデルであり、特にアルピーヌがこのクルマに単なる「速さ」だけを求めなかったことを高く評価している。 依然としてコンパクトで完全にドライバーを中心に考え出された、素晴らしいドライビングマシンだ。 だが、ベースモデルと同じくらい素晴らしいモデルだと言えるだろうか? 残念ながらその答えはノーだ。 A110 Sの問題は41ps引き上げられたパワーではなく、ワイドになったタイヤサイズとそれに合わせてより締め上げられたサスペンションにある。 もう何が言いたいかお分かりだろう。 確かに2地点間をより速く移動する能力は手に入れたものの、誰もそんなことはこのクルマに望んでいないのであり、A110が持っていたまるで路面と一体となるかのような驚異的な能力が失われたことが惜しまれてならない。

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