【速報】石破首相「他党にも丁寧に意見を聞く」衆院選で過半数割れ「国民の声を踏まえ」 所信表明演説
石破首相は29日、衆院本会議で所信表明演説を行い、衆院選で与党が過半数を割った結果を踏まえ「他党にも丁寧に意見を聞き、可能な限り幅広い合意形成が図る」考えを強調した。 【画像】29日 衆院本会議での所信表明演説に臨む石破茂首相 演説で石破首相は、自民・公明両党が大幅に議席を減らした10月の衆院選の結果を受け、「選挙で示された国民の皆様の声を踏まえ、比較第一党として、自民党と公明党の連立を基盤に、他党にも丁寧に意見を聞き、可能な限り幅広い合意形成が図られるよう、真摯に、そして謙虚に、国民の安心と安全を守るべく、取り組んでいく」と強調した。 また、演説の冒頭には、1957年の石橋湛山首相(当時)の所信表明演説から、「国政の大本について、常時率直に意見をかわす慣行を作り、おのおのの立場を明らかにしつつ、力を合せるべきことについては相互に協力を惜しまず、世界の進運に伍していくようにしなければならない」との言葉を引用。 石破首相は、「民主主義のあるべき姿とは、多様な国民の声を反映した各党派が、真摯に政策を協議し、より良い成案を得ることだ」と述べた。 ◆「トランプ氏と率直に議論」 また、重要政策の第一に「外交・安全保障上の課題への対応」を掲げ、アメリカのトランプ次期大統領と「率直に議論を行いたい」などと述べた。 国内外に課題が山積する中、石破首相は所信表明演説で「全ての国民の幸せを実現するため、3つの重要政策課題への対応を進める」とした上で、まず外交・安全保障政策について語った。 外交については、南米2カ国での首脳会談での成果を述べた上で、「来年1月には第二期トランプ政権が発足する」とアメリカでの政権交代に言及。 「日米安保体制は、我が国の外交・安全保障政策の基軸だ。しかし、同時に、合衆国も、在日米軍施設・区域の存在から、戦略上、大きな利益を得ている」とした上で、「合衆国には合衆国の国益があり、我が国には我が国の国益がある」と述べた。 そして、「率直に意見を交わし、両国の国益を相乗的に高めあうことで、自由で開かれたインド太平洋の実現に資することができる」として、「トランプ次期大統領とも率直に議論を行い、同盟を更なる高みに引き上げていきたい」との考えを示した。 一方、安全保障を巡っては、「国際秩序に大きな挑戦がもたらされている」と述べ、ウクライナ情勢や中東情勢に触れるとともに、日本周辺での中国・ロシア・北朝鮮による軍事活動について説明。 「厳しく複雑な国際社会においても、国家の舵取りを行うにあたっての基本は変わらない。抑止力・対処力を維持、強化しつつ、各国との対話を重ね、我が国にとって望ましい安全保障環境を作り出すことだ」と述べた。 ◆“令和の米不足”や「闇バイト」にも言及 「日本全体の活力を取り戻す」 また、石破首相は、「日本全体の活力を取り戻すこと」を重要政策課題の1つとして掲げ、今夏の米の品薄や、「闇バイト」による犯罪、健康保険証の廃止などにも触れた。 演説で石破首相は、「日本全体の活力を取り戻す」として、「人口減少によって、地域の活力、そして経済の活力が低下している状況」を指摘し、「この流れを反転させる」などと述べた。 そして、「『地方創生2.0』を起動し、我が国の社会や経済の起爆剤とするため、地方創生の交付金を当初予算ベースで倍増する」方針を改めて示した。 また、「この夏、店頭から米が一時、消えたことは記憶に新しいところだ」と“令和の米不足”に触れ、「人口減少下においても、農林水産業・食品産業の生産基盤を強化し、安定的な輸入と備蓄を確保することなどを通じて、食料安全保障を確保する」と強調した。 社会保障を巡っては、“紙の保険証の廃止”に言及。 「来月2日には健康保険証の新規発行が終了する。マイナ保険証の利用を促進しつつ、持っていない方には資格確認書を速やかに届けることで、これまで通り診療が受けられるようにしている。国民の不安には迅速に応え、丁寧に対応する」と説明した。 さらに、石破首相は、「治安・防災対応」も重要政策課題に挙げた。 治安については、「闇バイト」に触れ、「いわゆる闇バイトによる強盗・詐欺の報道を見ない日はほとんどない」とした上で、「他者への慈しみや堅実な努力といった、日本社会の中で大切にされてきた価値観・道徳観を揺るがしかねないものであり、断じて許してはならない」と強調。 「悪質な事件の主体となっている、いわゆる匿名・流動型犯罪グループの検挙を徹底するための取り組みを一層、推進していく」と述べ、「学校での啓発活動」「若者に向けたSNSによる情報発信等の強化」「闇バイトを募集する情報のインターネット上からの削除」にも努める姿勢を明確にした。 防災については、能登半島地震・豪雨での教訓を踏まえた「事前防災」の施策を示し、「再来年度中の防災庁の設置に向け着実に準備を進める」と述べた。 ◆「103万円の壁」は「引き上げる」 政治改革は「年内に必要な法整備含め結論」 いわゆる「103万円の壁」については「税制改正の中で議論し引き上げる」と述べ、今国会の焦点となる政治改革を巡っては、年内に法改正を実現したい考えを改めて示した。 演説の中で石破首相は、「国民の暮らしが豊かになったと感じてもらうためには、現在や将来の賃金・所得が増えていくことが必要だ」として、22日に閣議決定した経済対策について説明した。 また、「経済対策のとりまとめにあたっては、党派を超えて、優れた方策を取り入れるべく、最大限の工夫を行ってきた」として、与党と国民民主党の協議を経て盛り込んだ内容に言及。 「いわゆる『103万円の壁』について、来年度税制改正の中で議論し、引き上げる。いわゆる暫定税率の廃止を含む『ガソリン減税』については、自動車関係諸税全体の見直しに向けて検討し、結論を得る」と述べた。 そして、「経済対策をできるだけ早く届けられるよう、速やかに補正予算を国会に提出する」として、「国会で審議いただき、早期の成立を目指す」と強調した。 一方、今国会の焦点の1つとなる政治改革を巡っては、「政策活動費の廃止、政治資金に関する必要な監査を行う第三者機関の設置、収支報告書の内容を誰でも簡単に確認できるデータベースの構築など、政治資金に関する諸課題の改革のための議論を進めていく」などと述べた。 その上で、「国民の政治に対する信頼を取り戻すため、党派を超えて議論し、年内に、必要な法整備も含めて結論を示す必要がある」との考えを示し、「誠心誠意、尽力していく」と語った。
フジテレビ,社会部