新加入MFが“上手すぎる”という問題点 リヴァプールの歯車が噛み合わない
深刻な不調に喘ぐ攻撃陣
昨季まで、あれほど強力と評判だったリヴァプールの3トップは一体どうしてしまったのか。2020-21シーズン、守備陣の駒不足が話題となることが多い同クラブだが、その一方では攻撃陣の不調も悩みの種となっている。第14節のクリスタル・パレス戦で7-0の大勝を収めたはいいが、その後のリーグ戦4試合で挙げた得点はわずか「1」。モハメド・サラー、サディオ・マネ、ロベルト・フィルミーノからなるフロント3は、ここ最近結果を残すことができていない。 はたして、その原因は何か。ひとつ考えることができるのは、やはり最終ラインの人材不足が攻撃にも影響しているという可能性だ。ユルゲン・クロップ監督が志向するハイライン戦術において、最終ライン裏のスペースをカバーできるスピードを備えたフィルジル・ファン・ダイクとジョー・ゴメスの存在はあまりに大きかった。 代役を務める選手たちも奮闘しているのだが、この2人が任されていた仕事を完璧に再現するのはどうしても無理がある。ギリギリのところで持ち堪えたが、実際に先日行われた首位攻防戦でもリヴァプールはマンチェスター・ユナイテッドから執拗に最終ライン裏を狙われた。戦術こそ変わっていなくとも、現在の彼らは相手の裏抜けを気にするあまりに全体の意識が後ろへと下がっている。これがスムーズな攻撃への移行を阻害している可能性は高い。 しかし、それ以外にもリヴァプールの攻撃が停滞している理由はあるのかもしれない。それは新加入MFチアゴ・アルカンタラの存在だ。今夏、中盤に創造性をプラスするためにリヴァプールがバイエルン・ミュンヘンから獲得した同選手。その技術は前評判通りで、これまでボールハンター型が多かったMF陣に彼は新たな風を吹き込んでいる。マンU戦においてはパスワークの中心として機能し、データサイト『WhoScored.com』が選ぶマン・オブ・ザ・マッチにも選出。その働きは称賛されて然るべきものだったと言えるだろう。