ソフトボール男子・九産大九州、全国選抜で夏春連覇狙う エースで4番の大神がけん引
今夏の全国高校総体(インターハイ)ソフトボール男子で14年ぶりに優勝した九産大九州(福岡)が、出場を決めた来年3月の全国高校選抜大会(千葉)で夏春連覇を狙う。投打でけん引するのが2年生エースで4番の大神陸翔(りくと)だ。全国総体では3回戦で無安打無得点試合を達成し、打っても通算2本塁打で最優秀選手(MVP)を受賞。全国選抜でも投打「二刀流」で大暴れする意気込みだ。(山崎清文) ■ピンクのユニホームで快走するドルーリー朱瑛里【写真】 ◇ ◇ ◇ 7月末に長崎県大村市で行われた御調(広島)とのインターハイ決勝。4―3で迎えた最終回の七回を大神が3者三振で締めると、エースを中心に歓喜の輪ができた。「勝った喜びもあったが、やっと終わったという安堵(あんど)感が大きかった」。左腕は日本一の瞬間を思い起こした。 175センチ、75キロの体格から、手元で浮き上がるように変化する最速120キロ台の「ライズボール」を投げる。打席での体感速度は野球ならば160キロ台後半に相当し、大会でバッテリーを組んだ主将の有吉遼太(3年)も「相手打者は全員ボールの下を振っていた」と舌を巻く。 インターハイは連日の記録的な酷暑の下で開催。大神は明徳義塾(高知)との3回戦で「暑くて抑えるのが精いっぱいだった」と言いつつ、13奪三振で自身初の無安打無得点を記録した。最終日の準決勝と決勝は2試合計14イニングを完投、打っても2戦連続アーチで自らを援護した。 「勝ちたいという気持ちが打たせてくれたホームラン。難しいインコースの球だったがしっかり反応して打てた」。決勝での本塁打に胸を張った大神に、柿原吉広監督(49)は「思い切りのいいスイングをするし、誰よりもボールを遠くへ飛ばす力がある」と、打撃面の非凡さも評価した。 大神は高校卒業後、大学を経て将来は実業団でのプレーを目指す。憧れは男子元日本代表の松田光さん(現JDリーグ・シオノギ監督)。投打二刀流として国内外で活躍し、日本リーグではMVPのほか投打のタイトルを何度も獲得した。「松田さんは高校からすごく努力をして有名になった選手。自分は背が高くなく、身体能力がない分、練習を重ねて日本代表に選ばれたい」 九産大九州は2008年夏の全国総体と翌春の全国選抜を続けて制しており、2度目の夏春連覇を目指す。「(夏春)連覇のプレッシャーもあるが、チームのみんなと成長していきたい」と大神。仲間たちと一歩ずつ、もう一度頂点に向かって歩みを進める。(山崎清文)
西日本新聞社