引退を発表して記者会見をする森泰斗（撮影・村上英明）

　地方競馬を代表する名手が去る－。既に現役引退を表明していた森泰斗騎手（４３）＝船橋＝が２９日、船橋競馬場内で記者会見を行った。今後については明らかにしなかったが、決断した理由については“心技体”、そのうちの「心・体」の衰えを挙げた。２度の所属競馬場廃止などの苦難を乗り越え、全国リーディングを５度。惜しまれつつステッキを置く。 　－引退を決意した理由と時期は 　森「いくつもあって。一番は心技体という言葉がありますが、その心と体の部分が自分の中で衰えてきた。長年多く騎乗させてもらってきましたが、経年劣化というか、関節の部分の衰えを年々感じるようになりました。それにケガをした右足首が思うように動かなくて、膝の痛みも出る時があって。寒い時期は特に。自分の思うような騎乗ができないことが増えてきて、２年前ぐらいから考えていました」 　－最終的に決断したのは 　「とくにはありませんが、日に日に気持ちが強くなってきて、それがコップからあふれる出るようになりました。家族やマネジャーには相談してましたが、最後は自分が決めることなので」 　－来年３月までは騎手免許はあるが。なぜこの１１月を。 　「（地元の）船橋で終わるのが一番で、直近を探したらこの時期になりました。それにこれから寒くなるし、パフォーマンスが低下するでしょうから。ズルズルやりたくなかったので」 　－今後については 　「今のところ全くの白紙です。馬に初めて乗ってから３０年以上。馬と競馬にはそれなりに知見を培ってきました。何かしらの形では競馬に携わりたいと思っています。具体的なことは何も決まってません。調教師試験を受験？それも選択肢のひとつです。まずはゆっくり体を休めてから考えたいですね」 　－ジョッキー人生、採点すると何点 　「うーん、８０点ぐらいかな。あの時こうしていれば、あの馬がケガしてなければとか後悔することもありますが、年齢の割にはたくさん勝たせてもらって、充実した騎手人生だったかな。ネガティブな性格なので、一生やってても１００点になることはないです（笑）」 　－思い出のレースや馬は 　「乗ってきた馬のことはほぼ覚えていますが、１頭を挙げるのは嫌ですね。それぞれが楽しかったし、乗った馬全てに感謝しています。ボクは馬を怒ったり、叱ったり、感情をぶつけたことが一度もないので、それは誇りに思っています」 　－今一番やりたいことは 　「太ってみたい（笑）。人生で一度も太ったことがないので。ジャンクフードを食べたり、夜中までゲームをしたり…。だらしなく生活をしてみたい」 　－ファンへひと言 　「“ありがとう”を伝えたい。ファンがいなければ競馬は成り立ちません。明日からはジョッキーではなくなりますが、今後も地方競馬を応援していってほしいです」