平原綾香「いい環境を用意されて当然」という慢心が感謝に変わった理由
「ありがとう」という気持ちで自分を取り戻すことができた
ここでも平原は「ありがとう」という気持ちで自分を取り戻すことができた。周囲への感謝=愛情というテーマで作られた「STAR」という曲は、平原の音楽への思いを象徴しているような作品に感じられる。そんな曲が映画『マイ・ベスト・フレンド』の日本版テーマソングになった。作品は、トニ・コレットとドリュー・バリモアという演技派女優が、何十年にもわたる女同士の友情を情緒たっぷりに演じ、相手への思いやりや感謝、愛を深く感じることができる感動作になっている。 「この映画のために書き下ろした作品ではないのですが、びっくりするぐらい映画とマッチしているなって自分でも思います。『あれ、私書き下ろしたっけ?』って勘違いするぐらい(笑) 20代の頃はあまり恋愛の歌って得意ではなかったんです。でも30代になって、少し心の余裕ができてきて、人を守りたいという思いや、性別を超えた大きな愛情みたいなものの存在が大きくなってきたんです。そうやってできた曲が、こうして映画の主題歌になることで、故郷ができたというか、多くの人と思い出を共有できるようになる。すごいことですよね」。 常に感謝の気持ちを忘れず、音楽に対して真摯に向き合う平原。30代になり「自分で決めたルールに縛られないようになった」ことで表現の幅も広がった。「今はとても楽しい」という平原の今後の音楽活動に注目したい。 (取材・文・写真:磯部正和) --------------------- ■平原綾香(ひらはら・あやか) 1984年5月9日生まれ。東京都出身。2003年シングル「Jupiter」で歌手デビュー。2004年の日本レコード大賞新人賞をはじめ、数々の賞を獲得。その後も映画『四日間の奇蹟』の主題歌「Eternally」(05年)やNHK「トリノオリンピック」テーマソング「誓い」(06年)、映画『マリと子犬の物語』主題歌「今、風の中で」(07年)など印象に残る名曲を世に送り出している。
『マイ・ベスト・フレンド』、11月18日(金)、TOHOシネマズ シャンテ他にて全国ロードショー 配給:ショウゲート、(C)2015 S FILMS(MYA) LIMITED