更年期・閉経を迎える50代の肌の運命とは?
更年期や閉経を迎え、肌も体も大きく変化し、エイジングが加速する50代。何を使って、どんなお手入れをするかで、肌の運命は変わってくる。美容ジャーナリストの齋藤薫さんにアラフィー世代が意識すべきポイントを教えてもらいました。 【写真】50代がいつまでも美しくいる「スキンケア法」
閉経してからキレイになる人は何が違う?
■50歳は、そこからキレイになる人と諦めてしまう人の最大の分岐点 「人生でいちばん不幸なのは49歳」。そんな調査結果がある。これには私自身、激しく納得。まず自分の人生が大方見えてしまった脱力感と、更年期障害が重なって、50代になるのが無性に怖かった。その先がどうなっているのか、暗闇でよく見えないから。特に女性は最も落ち込む年齢なのだ。 でも考えてみてほしい。49歳が最も不幸なら、50歳からは逆に気持ちが上がっていくことにもなるはず。ただ49歳の不幸感をそのまま持ち越し、50代から先を何となく諦めてしまう人もいる。だから50代は人生で最も大きな分かれ道。上向きに歩いて行く人と下向きに歩いてしまう人との分岐点となるのだ。 実はここに、更年期が大きく関わってくる。“閉経”をどう捉えるか、女性ホルモンの分泌が、がくんと減るのは確か。だから後はもう歳を取るだけと考えるか、むしろこれからが人生本番と考えるか、まさに180度違ってくる。実際、閉経してからの方がキレイになっている人が、今やたくさんいるのだ。なぜか? 人間の体は不思議なくらいよく作られていて、女性ホルモンの供給が途絶えても、その代わりをするホルモンが不足分を補うと言われるのだ。逆に問題は、女性ホルモンが減るプロセス自体にある。それこそが“ホルモンバランスの乱れ”、減るだけ減って底をつくと逆に安定する。私自身も40代は肌がずっと荒れ気味で、大人のニキビも絶えなかったのに、閉経後は毒が抜けたようにトラブルが減った。つまり女性ホルモンは低レベルでも安定すれば、あとは他のものが補ってくれる。30代40代と肌に悩んだ自分は、よし、これからだと思ったもの。 だから当然、美容における物選びの基準も変わった。 閉経後の最も大きな変化は、何よりも塗るものだけに頼れなくなること。体内のコラーゲンもヒアルロン酸も、20代の頃の半分以下に減ってしまうわけで、塗るだけでは到底間に合わない。コラーゲンは口から摂っても肌は変わらないと言うが、いやそんな事はない。継続効果は望めなくても、その日の肌はそれだけでふっくらするはずで、インナーケアを主体にするお手入れはもうマストなのだ。 ■インナーケアを1つの軸としつつ自分を感動させる即効コスメを ただインナーケアもやみくもに摂ればいいというものではない。自分の弱点をしっかり探して〝自分に足りない栄養素〟を確実に補う。食事で摂れる量でなければサプリを、という方法で。私の場合は血管年齢に難ありで、これが老化の大きな原因なのを確信して、ヒハツのサプリを。また養毛剤がなかなか効いてくれないので亜鉛のサプリを、という具合。 いずれにせよインナーケアはマスト。それを踏まえて50代のスキンケア名品を改めて考えてみた。大人肌ならばこそ絶対ほしいのが、即効性。変化が見られない化粧品を我慢強く長々使い続けるのは、もうやめたい。飲むコラーゲンは日々の肌のために毎日たっぷり摂るべきと言ったけれど、塗る化粧品もともかくその日その日ちゃんとキレイが目に見えるものを楽しく使えば、結果として継続効果がついてくると考えて。 つまり、化粧品がなかなか効かなくなった世代だからこそ、確実に目に見える効果をもたらし、化粧品ってやっぱり効くんだと自分を感動させてくれるものこそが名品。また、これがあれば何もいらないと思わせるような全方位性を持つものこそが名品。ある意味中毒にさえなるものこそが名品。また、ただ長いだけではない、長く売れ続けているものには、絶対に何かあるからこその名品。そして美容医療がいらなくなるほど、自信と希望をもたらすものこそ名品……。 これらを踏まえ、さらに50代が強く意識すべきスキンケアの力点を7つあげてみた。エイジングケアほど、新しいものほど良い、高いものほど良いと思いがち。でもそうではなく、もっと確信を持って狙いを定めてお手入れしてほしい。その鍵となる7つの決め手を! 【美容ジャーナリスト 齋藤 薫さん】 いわずと知れた日本の美容ジャーナリストの草分けで、雑誌やweb媒体などに多くの連載をもつ。深い知識と鋭い観察眼のもとにつづられたエッセーに信頼を寄せる人は数知れず。 撮影/山口恵史 スタイリスト/山本瑶奈 取材・文/入江信子 ※エクラ2024年10月号掲載