<吉本新喜劇・島田珠代>知られざる「容姿いじり」への葛藤「『バケモノ』はいいけど“あの言葉”だけは…」
心が痛むこともあるが、救われている人もいる
――エッセイの中で容姿イジリに対する葛藤が語られていたことが印象的でした。 私に言っていることを、実の娘にも言ってもいいと勘違いさせてしまったり、学校でのイジメを助長して子どもたちを追い詰めているのではないか、と心配になることはあります。 一方で、私の芸で救われている人がいることも励みになっています。「自殺をやめました」といったファンレターをいただく機会も多いんです。 ――人を傷つけてしまう容姿イジリと、芸人の世界で行なわれる容姿イジリの違いはどこにあると思いますか? あくまで私の考えですが、プロの世界の容姿イジリは、本当に思ったことを言っているわけではありません。プロの技術を駆使して、観客や視聴者を楽しませようという意図をもち、笑いを生み出しています。 芸人はイジリを芸に昇華することで生計を立てているので、人を傷つけるような「イジリ」とは別物だと思います。それに、芸人のみなさんは覚悟をもって舞台に立っていますし。 一般社会では、言われた側が少しでも「嫌だ」と思った時点でアウトですよね。ひと昔前よりは容姿イジリに厳しい社会になっているとは思うのですが、それでもイジメとしての容姿イジリは無くならないのではと思っています。 本当に難しい問題ですよね…。 ――珠代さんが容姿をイジられても気にしなくなったのは、プロの芸人としてデビューしてからですか? 実は私自身は、この世界に入る前から容姿をイジられても気にするタイプではありませんでした。幼稚園か小学校の頃に、自分がブサイクだということを受け入れてからは、何とも思わなくなりましたね(笑)。 でも容姿を気にしている人に伝えたいのが、容姿の美しさだけが人間の魅力ではありませんし、心が美しい人も素敵なんです。自分のどの面を磨くかを考えてもらいたいなと。 容姿がダメと分かっても落ち込んで立ち止まるのではなく、それは一旦受け入れて、例えば好きな人がいるのであれば、その上でどうすれば振り向いてもらえるんだろうと考えを切り替える強さを持ってほしいなと思っています。 私の場合はそれが「笑いを取ること」だったんです。