東京五輪男女マラソン代表を決める9月のMGCはどんなレースになって誰が勝つ?
瀬古リーダーも“佐藤推し”で「設楽、大迫のふたりだけでなく、全選手にチャンスがあると思います。なかでも佐藤君は勝負強いですし、最近はマラソンの脚ができている。まだまだ力が余っている気がします」と箱根駅伝で3年連続の区間新記録、日本選手権1万mで4連覇している佐藤のポテンシャルを評価した。 ペースメーカーが不在のため、序盤から積極的に引っ張る選手が現れることは考えにくい。それでも、瀬古リーダーは「男子は30kmまでに(トップ集団が)半分くらいになるんじゃないでしょうか。途中で誰かがドーンと行くような気がします」とにらんでいる。 MGCは優勝を狙うというよりも「2位以内」もしくは「3位以内」という“当確ライン”を巡っての駆け引きとなる。加えて、出場選手たちは、それぞれの実力、キャラクターを熟知しており、ライバルたちの動向を予想しながらレースを進めることになる。 途中で仕掛けるとすると、設楽、井上、服部の3人。このなかの誰かが途中で飛び出すと見ていい。反対に大迫と佐藤は最後の勝負どころまで力を温存するタイプ。スパートした選手を冷静に追いかけていくことになるだろう。 コースは発着点が、新国立競技場から神宮外苑になる以外、東京五輪本番とほぼ同じ。全体的にはほぼフラットだが、スタートから5kmが下り基調、反対にラスト5kmが上り基調となる。2週間前にコースを試走したという神野大地(セルソース)は、「最後の5kmの坂が凄かった。35km地点で10番手でも自分にはチャンスがある。終盤の坂で、サヨナラ満塁ホームランを打ちたい」と得意の上りで“大逆転”するプランを描いている。 東京五輪の参加標準記録(2019年1月から有効)は男子が2時間11分30秒。大迫、服部、佐藤ら突破していない選手は、ワールドランキングの順位を上げるためにも、タイムを意識してレースを進めたいところ。気温が25度近くまで上がった17年のボストンでは、初マラソンの大迫が2時間10分28秒で走破している。気象コンディション次第だが、後半はハイペースになるのではないだろうか。