近藤健介最高出塁率.465の秘密。選球眼?千里眼??「2打席に1度出塁する男」の神業
得点を奪い合う野球というスポーツにおいてある意味で、もっとも価値のある数字かもしれない。リーグ最高の出塁率を誇った近藤健介の卓越した技術を検証する。
安打と四球の両立
日本ハムの安打製造機、近藤健介が2年連続で「最高出塁率者賞」を手にした。シーズン中には5割に迫る勢いで出塁。最終的には出塁率.465に落ち着いたが、それでも初タイトルを獲得した2019年の出塁率.422から大きく数字を伸ばし、歴代でも11位につける優れた数字を残した。投手からすれば、ほぼ2打席に1回は出塁するやっかいな存在。投手が近藤を相手に投じるボールの平均投球数4.749がリーグ最多であることからも、それが分かるだろう。
過去のシーズン記録者上位には伝説的なホームラン打者が顔を並べるが、中距離打者の近藤は彼らとはタイプが異なる。落合博満、バースらが勝負を避けられ四球で歩かされることが多かったのに対して、近藤は「安打と同じように、四球で出塁することも意識する」と勝負の中で四球を“奪いに”いく。とはいえ、意図的にファウルを打って四球を狙うのではなく、ストライクゾーンに来れば好球必打で打率.340(リーグ3位)をマーク。ゾーンは強くスイング。ボール球には絶対に手を出さない。この野球における「基礎の基礎」をコンピューター並みの精度で実現させるのが近藤健介という男だ。つまり、安打と四球が高次元で両立することで高い出塁率につなげている。 四球の数はリーグ3位ながら、「四球率」の高さが選球眼の良さを証明している。普段から150キロ以上のスピードで向かってくる投球を見極めるために、ビジョントレーニングを怠らない。そうして養われた「目」は、投げる前にストライク、ボールが事前に感知できる千里眼のようでもある。 「コース別打率」からは、高めのボール球にはほとんど手を出さないことが見て取れる。しかし、近藤の本当の神業は、ストライクゾーンに来たボールを正確にとらえる卓越した打撃技術にある。「9分割」すべてで3割以上、コースによっては4割を超えていた。21年は、最高出塁率と同時に、悲願の首位打者に狙いを定める。
記録CHECK もう一つの勲章に狙い
2017年は開幕から絶好調で50試合時点で打率.407とハイアベレージをキープ。「4割打者」誕生に夢が膨らんだが、ケガで無念の離脱。実力からすれば、近藤健介がフルシーズン打席に立てば、首位打者獲得の実力は十分にありながら、タイトルに届かずにいる。20年はキャリアハイを大幅に更新する打率.340をマーク。しかし、オリックス・吉田正尚(.350)、ソフトバンク・柳田悠岐(.342)がすご過ぎた。「来季こそは、狙いたい」と首位打者獲得に執念を燃やす。
週刊ベースボール