【100kg軽くハンドリングは上】トヨタGRスープラ 2.0(SZ) 稀有な本格スポーツカー 後編
ステアリング操作へ繊細で素直に反応
text:Richard Lane(リチャード・レーン) translation:Kenji Nakajima(中嶋健治) 2.0Lエンジンを載せたトヨタGRスープラで実際に走り出してみると、3.0L版のスープラとは明らかな違いがある。大きく長いクラムシェル形状のボンネットを開けば、エンジンとバンパーとの間にある、カバーで覆われた大きな空間が理由だろう。 【写真】トヨタGRスープラ 競合の本格スポーツモデルと比較 (157枚) フロントタイヤの軸上より前部分の重量は、ハンドリングに小さくない影響を及ぼす。2.0のスープラの場合、2気筒長いエンジンではなく、詰まっているのは軽い空気だけ。 3.0Lのスープラでは、柔らかなサスペンションにレスポンスの良いステアリングという組み合わで、旋回時にフロント側の慣性を感じる場面がある。それが2.0L版では、入力に対し繊細で素直にボディが反応してくれる。 前後の重心位置も明らかに後方寄りに移り、フロントの俊敏さは大幅に高まっている。わずかなアンダーステア傾向というシャシー・バランスは、そのままだけれど。 粘っこいステアリングフィールに変わりはない。全体のフィーリングという面では、はやりライバルの方に部がある。 それでも、ステアリング操作に対するシャシーの応答性は、明確に向上している。カーブの連続するチャレンジングな道でも、ドライバーが感じる自信は一段高い。アダプティブダンパーをスポーツ・モードにしていると、特にその印象は強まる。
扱いやすく軽快なBMW製4気筒
100kg軽い2.0Lのスープラで気になる点としては、筆者が感じた限り、3.0L版と共通のブレーキ。ブレーキペダルの反応が少し過敏でアシスト量が強すぎ、積極的に制動力が発生するようだった。 といっても、その程度。気持ちよく走れる道では、適度に速度を落としてくれる。 ツインスクロール・ターボを搭載したBMW製の4気筒エンジンは、レスポンスに優れる。キャラクターの濃さとしては直6に及ばないものの、パワーデリバリーは直4の中ではシャープな部類だ。 とても扱いやすく、低回転域でも軽快に走る。溢れるパワー感はないにしても、とても活発。ただし、6気筒なら高回転域でもう少し伸びようというところで、4気筒はリミットに当たってしまう。 タイヤサイズは18インチだから、サイドウォールは19インチより厚い。GRスープラの乗り心地は充分しなやかだが、一層の滑らかさを提供してくれる。走行時のロードノイズは、やや低音域が目立つようだった。 フロントから重量物がなくなったことで、2.0Lのスープラはより反応が鋭く鮮明。挙動の予測もしやすく、ドライバーが得られる充足感も高い。 並べて比較すれば、3.0Lのスープラより2.0Lの方が俊敏さで優れていることがわかる。しかも、価格はだいぶ安い。この構図は、4気筒のジャガーFタイプとも似ている。スープラをジャガーFタイプのジュニア、といいたくなってしまう。