“引退勧告”貴ノ富士が「処分重い」と反論会見もネット上は賛同の声ほとんどナシ?!
暴力、パワハラ行為がおきる温床は今なお残っている。“協会がちゃんと管理していないからいじめをしちゃったじゃないの”の議論は、天にツバを吐く行為で、支持はできないが、一度、暴力事件を犯した貴ノ富士が、この日、弁護団が繰り返した「基本的人権」「正義」「道徳」を理解せぬまま、つまり矯正されないまま、再び相撲の世界に戻って、指導する立場に置かれていたことに問題はある。そして、もっと、さかのぼって考えれば、改革を訴えてきた貴乃花・元親方の指導責任にもいきつくかもしれない。 貴乃花・元親方は、元横綱の日馬富士から貴ノ岩が受けた暴力事件をうやむやにすることを拒絶して問題提起、改革を訴え協会に反旗を翻した。 だが、その自らの足元で同じような暴力事件が頻発していたのである。2018年12月には、その貴ノ岩が忘れ物をした付け人を素手で殴っていたことが判明、引退を表明している。貴乃花・元親方が掲げた相撲道とは何だったのだろうか? この日の会見では、貴ノ富士に対して、貴乃花・元親方に連絡、相談はしたのか?という質問も多く投げかけられたが、「していません。一人の人間として自分の問題は自分で解決したいと」と答えた。 皮肉にも貴ノ富士は、貴乃花・元親方と同じような手法で反論した。 協会は、一連の不祥事を受けて外部の有識者による「暴力問題再発防止検討委員会」を設置し、暴力を排除するための研修会の実施や、通報窓口の設置など、暴力撲滅の改革に取り組んできた。だが、貴ノ富士の弁護団が主張するように、その実行効果も何もなかったということだろう。 弁護団は、「上からの命令では何も解決しない。コミュニケーションが必要」と、ガバナンスの整備に民主的な組織改革を訴えたが、もう協会の角界改革、ガバナンス整備に期待が持てないのであれば、現実問題として暴力撲滅の手段として、厳罰という“抑止力”に効果を期待するしかないのかもしれない。 それは弁護団が主張するように、決して暴力撲滅の根本的な組織改革、解決方法にはならないが、暴力、いじめ、パワハラ行為をすれば、「角界を追い出される」という厳しい認識を広げておくことは必要だろう。 協会は、この会見を受けて「昨日報告した通り、理事会は貴ノ富士に自主引退を促しており、まだその正式な返答がありませんので、現状では協会としてはコメントすることはありません」という強気のコメントを発表した。 このまま貴ノ富士が“引退勧告”に同意しない場合、コンプライアンス委員会の答申を受けた上で、臨時理事会が開かれ、協会が定める懲戒処分の中で最も厳しい「解雇」という処分が下される可能性がある。