シリアと関係強化の中国「早期の安定を望む」と情勢注視 アサド政権崩壊で報道官談話
【北京=三塚聖平】中国外務省は8日発表した報道官談話で、シリアのアサド政権崩壊が伝えられたことを受け、「中国は、シリアができるだけ早く安定を取り戻すことを望んでいる」と表明した。中国はアサド政権と経済面を中心に協力を進めてきた経緯があり、「情勢の進展を注意深く見守っている」としている。シリア側に対し、国内で中国の組織と個人の安全を確保することも要請した。 中国は、米欧の制裁下にあるアサド政権との関係強化を進めていた。昨年9月には習近平国家主席が、2011年にシリアで内戦が始まって以降初めて訪中したアサド大統領と会談し、両国の「戦略的パートナーシップ関係」を構築すると宣言した。中国の王毅(おう・き)共産党政治局員兼外相は今年5月、シリアの外相と北京で会談し、「中国は引き続きシリアの経済発展をできる限り支援する」と呼び掛けた。 中国は近年、中東地域における影響力の拡大を図っている。アサド政権の崩壊により、シリアと中東情勢がどのように変化するか中国政府は神経をとがらせているとみられる。