なぜ女性芸人は「ブス」「デブ」の容姿イジりをやめたのか…松本人志の分析とはちがう令和ならではの理由
■日本のTVでガラスの天井を破るか、海外に軸足を置くか ゆりやんレトリィバァも2024年12月にアメリカに引っ越して、芸人として活動をしながら、映画監督業を行う予定であることを発表した。 海外に目を向けるフットワークの軽い女性芸人が続々と出てきているというのも、最近の女性芸人界で興味深い現象である。 多様な生き方が認められるようになった今では、女性芸人の生き方の可能性もどんどん広がっている。ガラスの天井を破りたければ破ればいいし、そこに興味がなければ、好きな生き方をすればいい。生き方を選べること自体が女性芸人の特権でもあるのかもしれない。 2024年3月、人気女性コンビの尼神インターが解散した。明るく天真爛漫なキャラクターの誠子と、やさぐれキャラの渚(現・ナ酒渚)。見た目も性格も対照的に見える2人のコンビネーションが絶妙だった。 尼神インターの持ちネタの中には、過剰に「いい女」を気取る誠子に対して、渚が容赦なく「ブスやないか」とツッコミをいれる、というものがあった。だが、ある時期から彼女たちはこのネタをやらなくなった。 ■なぜ女性芸人たちは「容姿イジリ」ネタをやめたのか もともと誠子は自分の容姿にコンプレックスがあった。お笑いの世界に飛び込んでみたところ、そこでは自分の容姿をネタにすることで笑いが取れることに気付き、コンプレックスが解消されて自信を持てるようになった。そんな彼女にとって、容姿ネタを捨てるというのは大きな決断だったのではないか。 3時のヒロインの福田麻貴も、2021年にツイッター(現・X)で「私達は容姿に言及するネタを捨てることにしました!」と書き込み、容姿イジリ封印を宣言したことで話題になった。 彼女の意図としては、容姿ネタそのものを否定するつもりはなく、あくまでも現場の肌感覚としてそういうネタがウケなくなっているのを感じていたので、自分たちはそれをやらないことにしたというだけだった。 また、馬場園梓とのコンビ・アジアンを解散して女優に転身した隅田美保も、漫才の中で容姿イジリをされることが多かったのだが、それを嫌っていたと噂されていた(のちに本人は否定)。 ここ数年の間に女性芸人が容姿に関するネタをすることはほとんどなくなってきた。