なぜ女性芸人は「ブス」「デブ」の容姿イジりをやめたのか…松本人志の分析とはちがう令和ならではの理由
■ブルゾンちえみやフワちゃんが即戦力としてブレークしたワケ 一方で、女性芸人には有利な点もある。それは、上下関係にあまり縛られないことだ。お笑い界は男性が大半を占める男社会であるため、ピラミッド型の権力構造が作られているようなところがある。後輩は先輩に逆らうことができない。駆け出しの若い男性芸人が先輩芸人に少しでも生意気な口を利いたりしたら、その場の空気が悪くなるのは間違いない。 しかし、女性芸人はこの男社会の権力構造に縛られず、ある程度は自由でいられる立場にある。女性芸人が先輩に多少生意気なことを言っても、それほど嫌な印象を与えないことが多い。 もちろん、それは女性が男社会の正式なメンバーとして認められていないからだ、という否定的な見方もあるが、女性芸人の中にはその「特権」を上手に利用する者もいる。 だからこそ、芸歴2年目で世に出たブルゾンちえみのように、女性芸人は芸歴や年齢に関係なく即戦力となる可能性を秘めている。YouTuber芸人のフワちゃんが大ブレークしたのも、上下関係に縛られないタメ口キャラが斬新だったからだ。また、マイノリティであるという特権を最大限に生かして、わざと空気を読まずに男性芸人の間に割って入ることもできる。 ■お笑い界の常識を超え、女性のあこがれになった渡辺直美 友近やゆりやんレトリィバァなどは、実力もさることながら、目上の芸人を相手にしても堂々と自分のペースを貫く度胸が業界人から称賛されることが多い。さらに言うと、従来のお笑い界の常識にとらわれない形で活動をする女性芸人もいる。その代表例が渡辺直美だ。 彼女はもともとビヨンセの口パクものまねでテレビに出始めた。巨体を揺らしてキレのあるダンスを堂々と披露する姿が印象的だった。その後、コント番組「ピカルの定理」(フジテレビ系)にレギュラー出演して、若者からの支持を獲得。さらに、インスタグラムでおしやれな私服姿を披露したり、笑える写真や動画をアップし続けたことで、若い女性のファンが急増していった。 2016年にはニューヨーク、ロサンゼルス、台北(台湾)を回るワールドツアーを敢行した。また、渡辺は持ち前のファッションセンスを生かしてブランド「PUNYUS (プニュズ)」のプロデュースも手がけている。渡辺の体型にも合う大きめのサイズでお洒落なデザインの服が揃っているのが売りだ。 渡辺は世の女性たちに向けて「太っていても自信を持ってお洒落を楽しめばいい」という前向きなメッセージを送っている。彼女はいまや芸人の枠を超えたファッションリーダー的な存在になりつつある。現在はニューヨークを拠点にして世界を股にかけた活動を行っている。