[特集/なでしこ、飛翔せよ! 03]独占インタビュー:田中美南 「自分には決めないといけない責任がある」
大きかったドイツでの経験 受け身にならなくなった
─パリ五輪に臨むなでしこジャパンには10代の選手2名も含めて、若い選手が多いです。チームを円滑に進めるために、意識して取り組んでいることはありますか。 「とくにないですね(笑)。いまの若い子はすごいですよ。若いと思うことがないです。FWのまいか(浜野まいか/チェルシー)はまだ波を感じるときもありますが、それが若さゆえの良さでもあるので自分がなにか言うことはないです。萌々子(谷川萌々子/ FCローゼンゴード)や塔子(古賀塔子/フェイエノールト)は10代ですけど、ホントに堂々とプレイしています。太さん(池田太監督)の起用方法がうまいので、チームのなかで自分がどうこうするというのはないです」 ─逆に、若い選手から学んだこと、触発されたことはありますか。 「どん欲さですかね。まいかとかはどん欲にゴールへ向かう姿勢が表に出ています。自分はまわりを見るがゆえにそうした姿勢を失っているなと思ったときもあって、そこは同じようにどん欲にいかないといけないと思います。昔の若い子はひとつ突出しているものがあるから試合に出られるという感じでしたが、最近の若い子はトータルでみてすごくポテンシャルが高いです。ボールを扱う技術が高く、フィジカルも整っている。あおば(藤野あおば/日テレ・東京ヴェルディベレーザ)なんかも小さいですが、身体は強い。みんな、インテンシティも高いです」 ─田中さんは2021年にレヴァークーゼンで半年間プレイしています。女子ブンデスリーガ1部での経験を聞かせていただけますか。 「シンプルに言うと、技術的なうまさに差は感じなかったです。ただ、サッカーに対する熱がすごかったです。絶対に取られたくないという強い意思があって、球際のところはまさに“バトル”でした。日本の選手がうまくやろうとするところをブンデスリーガではバチバチいってました。ゴールへのどん欲さも違いましたね。もうちょっとうまくやればいいのにと思う部分もありましたが、そういう“闘う”というところに一番の違いを感じました。また、ドイツに行く前は代表で海外のチームとやるときに圧力を感じて受け身になることもあったのですが、あの環境を経験したことでそれがなくなりました。これは自分のなかですごく大きかったです」