EXILE橘ケンチは何故そこまで日本酒造りにハマったのか?
EXILE/EXILE THE SECOND の橘ケンチと日本酒界のイノベーターとして多くの支持を集める新政酒造によるコラボ日本酒「涅槃龜 橘(にるがめたちばな)」がリリースされた。ケンチが田植えから関わった日本酒ってどんな酒? 日本酒と酒造りにかける想いを聞く。 「SAKE HUNDRED」ペアリングディナーで日本酒の明るい未来を見た!
「私、いままで日本酒を飲んだことがなかったんですが、ケンチさんがおすすめしてくれるから飲むようになり、いまでは大好きになりました」 「日本酒がこんなに食事と合わせて楽しいお酒とは知らなかった」 とは、11月に行われた「涅槃龜 橘(にるがめたちばな)」(新政酒造)リリースを記念した、抽選により参加した30名とのオンライン飲み会『涅槃龜 橘オンラインの会』で聞かれたコメント。この日、EXILEのメンバーである橘ケンチが、人気酒蔵である「新政酒造」(秋田県)と協働したコラボ日本酒「涅槃龜 橘(にるがめたちばな)」を初めて披露する機会とあって、カメラを前にしたケンチ、そして新政酒造の蔵元である佐藤祐輔ともに静かな高揚感に包まれているように見えた。 この酒を醸すにあたっては、酒米の田植えに始まり、収穫、麹づくりや発酵の過程にいたるまで、さまざまなプロセスで積極的に携わってきたというケンチ。そもそも、彼がなぜ日本酒に魅せられたのか、そしていま何を目指しているのか聞いてみた。
「日本酒ってこんなにおいしいんだ」
「昔から日本酒が好きなわけではなかったんです。学生時代の飲み会で口にすることはあったけど、美味いと思って飲んでいたわけではなかった。でも4年ほどまえ、とあるお店で食事と日本酒をペアリングで楽しんだとき、衝撃を受けたんです。日本酒ってこんなに美味しいんだ、と」 ちょうどそのころ、仕事で海外へ出かけ、日本について聞かれるたびに、自分の知識不足を感じていた時期でもあった。自分は日本を知っているのか? その魅力を伝えきることができているのか? 「同じころ、自分の個性についても悩んでいたんです。たとえばEXILEのメンバーはみんな踊れるし、エンターテイナーとしては一流。そのうえで、自分という存在は他のメンバーとどう一線を画していくことができるか。たとえばぼくは本を読むのが好き。英語がしゃべれる。でも、他にもっとないかなと考えていました」 そこで出会った日本酒に、一筋の光明を見出した。 「それからはひたすら飲み、学びました。ライブで地方へ出かけるたびに、その近くの酒蔵を訪ね、蔵元さんと話し、現地の食材をアテに酒を飲む……とにかくおいしいし、楽しい。日本はこんなに豊かな風土の国だったのかと改めて感謝したくなったし、食卓を囲む時間はこんなにも幸福なものかと、自分自身の中にも変化が生まれました」 この4年間で訪れた酒蔵は100を超えた。多くの造り手と出会うことで、次第に飲むだけでは飽き足らず、自分でも酒を造ってみたいと考えるようになった。 「『新政』の佐藤祐輔さん、そして『田中六五』(白糸酒造)の田中克典さん、『澤屋まつもと』(松本酒造)の松本日出彦さん、『afs橘』(木戸泉酒造)の荘司勇人さんら、若くて革新的な造りをしている蔵元さんに出会えたことが大きなきっかけとなりました。彼らは、ぼくの日本酒を造ってみたいという気持ちを理解してくれて、一緒にやろうと言ってくれたんです」 そこで3年前の「亜麻猫 橘(あまねこたちばな)」(新政酒造)を皮切りに、4つの酒蔵で6種のコラボ酒を誕生させてきた。その7つめとなるのが冒頭の「涅槃龜 橘(にるがめたちばな)」というわけだ。