なぜ女子の半分が泳いでないの? ジェンダーレス水着の開発者が語った“忘れられない光景”
水泳用品など手掛けるフットマーク(東京都墨田区)のジェンダーレス水着が大きな話題になっている。正式名称は「男女共用セパレーツ水着」で、体のラインや性別などを気にせず水泳の授業に参加できるようにするため開発した。希望小売価格は6380~6820円。 【画像】ジェンダーレス水着(全13枚) 6月7日に新型水着の概要を発表した当初、同社は「2022年度は3校が導入を予定しており、来年に向けて10校が検討中」としていた。しかし、発表後に学校関係者からの問い合わせが増加。23年度の導入を検討している学校が30校に増えたという(6月17日段階)。 なぜ、新型水着を発売することにしたのか。どういった点が注目されているのか。開発を担当した同社の佐野玲子氏に話を聞いた。
上着の工夫
新型水着は、上下が分かれたセパレーツ型になっており、長袖の上着はできるだけ露出を減らしているのが特徴だ。ボトムスはハーフパンツを採用しており、体のラインが出にくいようにしている。 同社は2010年頃から長袖や半袖型の上着「シャインガード」を発売している。紫外線対策などを目的としているが、肌の露出を減らしたいという理由から着用する生徒も徐々に増えていたという。 シャインガードは、ぴったりとした水着の上から重ねて着る使い方を想定している。また、気軽に着脱できるように、ゆったりとしたつくりになっている。一般的には「ラッシュガード」などと呼ばれることが多い。 新型水着は、シャインガードと違い、1枚だけで済むようにしている。泳ぎやすいように、全体的に肌にフィットするよう改良しているのが特徴だ。一方、男女で身体的な違いが出やすい胸、腰、お尻などの部分はゆったりとしたシルエットになるようにしている。 上着のファスナーが前についているのは、着替えをしやすいようにするためだ。ただ、肌の上に直接着用するものなので、授業中にファスナーが何かの拍子に開いてしまわないように、特別なロック機能を付けている。 上着の裏地にも工夫がある。「胸が目立たないようにしたい」と考える生徒のために、別売りのパッドを入れるポケットが付いている。通常、裏地の色はベージュが多いが、新型水着は黒にしている。その理由について、佐野氏は「いかにもパッドが入るところだと分からないようにするためです。『女子が着る水着だ』と男子が嫌がらないようにするための工夫です」と説明する。