金髪も、ツーブロックもNGだった…潰れかけた福岡の私立高校が「昭和の校則」をやめた意外な結末
■「自由」の“本当の意味”を考えてもらう 今年の1年生は入学時点から自由な校則になっています。そこで、入学式ではこんなことを話しました。 「柳川高校は、これからみんなでつくっていく学校です。だから、ちょっとだけ自由について話したいと思います。僕らが当たり前に使っている『自由』という言葉は誰が考えたでしょう? 答えは、みんなが大好きな1万円札の肖像にもなった福澤諭吉さん。福澤諭吉さんが若い頃にアメリカに渡り、現地の政治、経済、人々の暮らしを見て『これからの日本をどうしようか』と考えたとき、一般人が大統領になれる選挙制度に衝撃を受けて、その根底にある『リバティ』や『フリーダム』という言葉に関心を持ちました。 この言葉から感じる、なんとも言えないワクワクする感覚は何だろう? 日本語で表現するとしたら、どんな言葉になるだろう? と考えたわけです。そして、帰国した後、その感覚を『自由』という言葉で表現しました。 今、僕たちが使っている自由と福澤諭吉さんが持ち帰ったときのワクワクする感覚は一致しているでしょうか? 自由という漢字を書き下すと『自らを由とする』となります。これは『自分の意志を肯定する』と言い換えてもいいでしょう。でもここにはもう1つ『自らに由る』『私に原因がある』という意味もあります。 自由には責任が伴います。自分のやりたい放題やればいいという意味で使われる言葉ではありません。自由であるということは、何が起きても、どんな結果になっても、自分に原因があるということ。それを頭に置いて、僕たちは自由な柳川高校をつくっていこう」 こうやって1年、1年、変化を続け、全員が良いと思えるものが定着し、「これが柳川高校だよね」という校風ができあがっていくのだと思います。 ---------- 古賀 賢(こが・けん) 学校法人柳商学園 柳川高等学校 理事長・校長 1968年8月4日福岡県柳川市出身。英国国立ロンドン大学を卒業後、95年4月に柳川高等学校 国際科科長、98年4月同校副理事長を経て、2002年に同校理事長に就任し、09年からは同校校長を兼任。生徒自身による校則改定を実施し、「グローバル学園構想」「スマート学園構想」「宇宙修学旅行」を推進。少子化時代にもかかわらず、生徒数増を実現した。著書に『学校を楽しくすれば日本が変わる』(祥伝社)がある。 ----------
学校法人柳商学園 柳川高等学校 理事長・校長 古賀 賢