ロバート秋山竜次、ドランクドラゴン塚地武雅 唯一無二の武器でドラマを牽引する芸人たち
ドラマや映画を観ていると、芸人がキャストの1人として名を連ねており、重要な役を担っていることが多い。そんな芸人たちはそれぞれ「◯◯力」を持っていて、それが個性につながっているのではないか、と思うことがある。 【写真】『光る君へ』最終話で涙を流した実資(秋山竜次) 例えば、作品や役柄との相性が良く、SNSで話題を集めた秋山竜次(ロバート)。NHK大河ドラマ『光る君へ』に、学識があるもののプライドが高い頑固者の一面も持つ藤原実資役として出演した。 当初はコミカルな演技も期待されたが、物語がクライマックスになるに連れて、キャラクターのことを好きになってしまうほど、実資を魅力的に演じきった。第47回「哀しくとも」で放った「あってはならぬ!」というセリフに胸を打たれた大河ファンも多いのではないだろうか。トリオでのコント、テレビコント、秋山自身がクリエイターに扮する「クリエイターズ・ファイル」などで培った「憑依力」が見事に昇華された作品だったように思う。藤原斉信役で出演した金田哲(はんにゃ.)、乙丸役の矢部太郎(カラテカ)とともに、本職の俳優にも引けを取らない名演で、最後まで物語を牽引していたのが印象的だった。 2024年、NHK連続テレビ小説『虎に翼』や、宮藤官九郎脚本のドラマ『新宿野戦病院』(フジテレビ系)に出演し、芸人としてはもちろん、俳優としても活躍したのは塚地武雅(ドランクドラゴン)。この両作品は「ギャラクシー賞」月間賞にも輝いた。 塚地は演技力に定評があり、若手時代から『裸の大将』(2007~2009年/フジテレビ系)、映画『間宮兄弟』(2006年)、『ハンサム★スーツ』(2008年)などに出演。塚地ほど俳優として息が長く、これほど代表作が多い芸人もそういないように思う。塚地は、もはやコミカルな役だけでなく、泣かせる役、胸を熱くさせる役など、幅広い役柄を求められる存在となっており、どこにでもいそうな物語への「馴染み力」は抜群だと思う。 塚地と同じく、今年『約束 ~16年目の真実~』(読売テレビ・日本テレビ系)、『仮面ライダーガヴ』(テレビ朝日系)、『マイダイアリー』(ABC・テレビ朝日系)、『海に眠るダイヤモンド』(TBS系)など、多くの作品に名を連ねたのは、坪倉由幸(我が家)だ。「事件の黒幕なのか?」という役や、モラハラ・セクハラがひどすぎる社長役など、数々の作品でインパクトを残し続けている坪倉。彼にしか出せないリアリティある演技での「自然力」は一級品で、多くの視聴者が涙した『アンナチュラル』(2018年/TBS系)第4話ゲスト回は「神回」とも呼ばれている。