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天国の妻と娘に在宅起訴を報告~「池袋暴走事故」遺族の願い

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テレ東NEWS

「長かったけど、起訴されたよ。僕にできることは何でもやるから見守っててね」 20年2月6日、仏前で手を合わせて報告する男性。仏壇にはずらりと並ぶぬいぐるみ。 可愛らしい暖色の供花も周囲を彩る。 東京・池袋で去年4月、乗用車が暴走し12人が死傷した事故で、妻の真菜さん(当時31)と一人娘の莉子ちゃん(当時3)を失った松永さん(33)。車を運転していた旧通産省工業技術院の飯塚幸三被告(88)がこの日、過失運転致死傷の罪で在宅起訴された。  事故から10カ月、突然届いた起訴の知らせ―。仕事中だった松永さんは急きょ記者会見を開くことを決め、上司に断りを入れて半休をもらった。慌ただしく会見を終えた夜、ようやく自宅へ。起訴の報告への返答がないか必死に耳を傾けるが、いくら待っても妻と娘の声が聞こえることはなかった。 なぜ事故は起きてしまったのか? 「2人の無念を晴らしたい。真実が明らかになれば、再発防止にも繋げられる」 松永さんは今後始まる裁判で被害者参加制度を使い、飯塚被告から直接話を聞くことを望んでいる。 「最愛の妻と娘を突然失い、ただ涙することしかできず、絶望している。少しでも運転に不安がある人は車を運転しないという選択肢を考えて欲しい」 事故からわずか5日後、言葉を振り絞るように記者会見で語った松永さん。 憔悴しきった表情の中にも再発防止への強い意志を垣間見た私は、松永さんに話を聞くため手紙を書いて送った。 約1カ月後、知らない番号から電話が・・・。 「お手紙ありがとうございました。残された遺族の現実を知ってほしいです。」 聞き覚えのある男性の声には、あの会見と同じく強い意志が入り交じっていた。この時から、私と松永さんのやり取りが始まり、事あるごとに連絡を取り合った。

【時が止まった部屋】

去年8月下旬、セミの声が響き渡る炎天下。松永さんは初めて自宅取材を許してくれた。 「残された遺族の現実を知ってほしい。」変わらない思いがあった。 部屋に入ってすぐ目に飛び込んできたのは、4月のままめくられないカレンダー。窓越しにぶらさがる木製のおもちゃは、すきま風に揺れている。洗面台には3色の歯ブラシが立てかけられ、何もかも時が止まっていた。

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